43 奇襲
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/14 18:00
戦姫ラフィ率いるエルフの小隊は1つ大きな森を抜け依頼書の示す場所まで来ていた
「この辺りが記している場所だが? どうだ? とりあえず今日はここで野営にする、準備しろ!」
先頭を進むエルフの長ラフィは長い髪をかき上げると後方に続く者達に告げる
「う~ん、そう みたいだね この近場の水場となると?」
バル、いやモーズと名乗る金髪金眼の青年は何枚かの地図とコンパス、依頼書を照らし合わせる
「次に入る森林には池があるな、だが そこから村に水を引くなど距離的に考えられんぞ?」
「デスヨネ~」
「ハハハハ 人間! 騙されたんじゃないのか?」
「そうだな~、まぁ明日から人間だけでは入れない様な領域に向かうんだ、そっちの景色にでも期待すると良いよ」
若いエルフ達が野営の準備をしながら軽口を挟む
「すまんな、彼らも悪気がある訳では無いんだ 珍しいんだよ、他の種族と関わる事が」
「いや、これくらい全然構わないよ」
(今から王子に会えると思えば小さな事だ)
「面目無いな、見張りは若い者にやらせるから モーズはもう休むと良い、明日は早い」
「助かるよ! 本来俺がやるべきなんだろうけど、流石にくたくただ」
主にそれは前日の夜から監視されていた事が原因なのだが
辺りは適度に距離をおき
次々と焚火や松明(たいまつ)の明かりが灯されてゆく
(思っていたよりもエルフ達は友好的に思える、少なくとも戦争をしている様な緊張感は無い)
もちろん戦姫、ラフィの持つ空気で統一されている様にも見えるが一人一人に余裕を感じる
(ふぅ、しかし森に入ってこんなにも簡単に王子の手がかり、、しかも明日明後日には会えるなんて)
荷物を降ろしその上に頭を乗せる
・・・
(10年 長かったなぁ 何から話 そう)
そう考えていると連日の疲れもあり
すぐに眠りへと落ちてしまう
「・・ズ」
「きろ」
「敵襲だ!!」
ラフィの声が聞こえた瞬間に飛び起きると手元の剣を掴む
(しまった 警戒を緩め過ぎた)
周りを見渡すが真っ暗で何も見えない
(火は、消したのか)
煙の臭いが立ち込める
「モーズ、こっちだ」
小さな声、細い指が腕をつかむ
少し斜面を滑り窪みの様な場所に着くと土をかけられた
数分が経ったか
静寂が続く
「相手は恐らく人間だ」
すぐ隣のラフィが呟く
「!? やっぱり、エルフは人間と争ってるの?」
(驚きはあったが小さく応答する)
「む? 何故エルフが人間と争う!?」
急に普通の音量で返してくる
「おい! そっちにいるぞ!!」
音に反応され声が聞こえる
「ちょ! なんでボリューム上げちゃうの!?」
やっと目が慣れて来たモーズは近場の石を数個掴むと声の方へ投石しラフィの手を引く
「ぎゃっ」
運良くいくつかが命中した様だ
「あああ、すまん つい いや!わざとだ!こっちに注意を向けようと・・」
「そういうの良いから!」
山を滑るかの如く斜面を駆ける
「足を! 足を挫かぬ様にな!? 転ばない様に気を付けて!!」
「だから声大きいって~」
二人の声と足音だけが静寂に響くが追える速度では無く徐々に声が小さく鳴る
(姫様 嘘でしょ?)
(あの人間 可哀そうに)
(合流出来たらなんか美味い物でも与えてやるか)
エルフの小隊は身を潜めながらゆっくりとその場を離れて行く
「ちっ! なんだよエルフ共じゃねえか聞いてた話とちげぇ!!」
「何人確認できた!?」
「くそ! ハズレの方かよ 割に合わね~撤退だ!!」
「いや! 待って下さい!! 下ってったのは戦姫だと思いますが どうします?」
「剣は持って無かった よな このままじゃ帰れね~そっちを持って帰るぞ」
何十人かの足音がモーズとラフィを追う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます