32 体温

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/14 15:20


狭く半壊した廃墟の中 

キーロは少女の素顔を見て瞳を見開く



(え?    なんで? どういう  事?)



「ちょ、ちょっと  本気で叩いたのはごめんだけど、、なんて顔してんのよ」

少女が固まっているキーロに声をかける



「え、、あ  ア イリ?」


「え? アイリ?   いや、違うけど?」


髪の色、目の色、声 全てが



食事処の娘


アイリそのままである




キーロは何度かゆっくりと瞬きをした




瞬きをしたと思った  ところから






涙が止まらない






「え! ちょっと  何? なんなのよ?」


アイリにそっくりな少女は自分で発言していた通り足が動かない様子


匍匐(ほふく)で、両足を引きずりながらキーロの近くへゆっくりと近づく


「ねぇ、もう!   ご、ごめんってそんな痛かった? え、えぇ  ねぇ   ごめんってば」



すぐそばまで来た少女を気が付いたら抱きしめていた



「ごめん、ね、、、    ごめんねええ」

そのまま黒髪の優男は泣き崩れる


「ちょ!!  な!  んだよ!?」



今、だけじゃないのだろう


足の動かない少女はいつから匍匐だけで


何者から逃げていたのだろう



いつから怯えて生きて来たのだろう


汚れたシャツとスカートは摩擦で雑に千切れ

這う両腕は痩せこけ土色に色を変えている


擦り傷や切り傷で所々が化膿し熱を持っている、、のに身体は冷え切っている





「もう、、   何、、なんなんだよ、、、」






少女の瞳からもボロボロと大粒の涙が零れる


















8/14 16:00


少し時間が立ち、酷く腫れた目をした二人


「うぅ と、とりあえず! あんたは本当に奴らとは関係無さそうね」

少女はたどたどしく少しだけ距離を置く


「ご、ごめん! びっくりしたよね」

距離を開けた分自然と距離を詰め、なんの悪気も無く少女の頭を抱くように撫でる


「~~~~~~~  ちょ  なん!」

少女は真っ赤な目を見開き頬も赤く染まる



「あ~、えっと、そうだ足が動かないんだっけ? 良く見せてくれないかな?」


「、、み、見たって  気持ち悪いだけだよ」

すかさず汚れた布のようなもので隠す


「気持ち悪くなんかないよ?   ほら!この足!!」

自分の義足を少女の目の前に出す



「え?   なんで? あんたも??」


「大丈夫だから 早く動けるようにしないと」


「    ぁ   うん」






キーロは両足を伸ばした少女を漏れた光で照らしながら、色々な角度で観察する



(こんなのどれだけの技術で?)


重さはそれほど無く、見た目からは想像できないくらいに軽い

少し衝撃を与えても傷付く気配はない

ネジやナットがはめ込まれている様な所もなければドライバーさえ入りそうな隙間もない


(溶接? でもないか バネが効かない)

足首、膝等関節部分は特に細かく素材も皮膚、、ゴム?の様に弾力がある



(もしかして     ここの技術じゃない?)

腱のある個所を押し、その反応がドコへ届いているのか触診する



(ダメだ、どう転がっても今じゃ治せない ジンさんに見せればヒントをもらえたりするかな?)

自然とスカートをめくり太ももの付け根をなぞる


「ty☆〇××☆××mbぴゃああ」


「腰骨はそのまま、、か   神経系は、、、  ん?」






バチン!   ボグゥ!!






太ももの付け根から横尻、腰骨を問答無用に触る、撫でる、押すキーロを

左ビンタからの右ストレートが襲う







「あ、、ふっぐ     あぁいったぁー     ァ、ソウダヨネー」

両手で顔面を覆う


「あああ、あにゃ  あにゃたなんなのお!?」

少女の口の形が明らかにおかしい



「いっつつ  はは あ~ごめんね、大丈夫! 全然見てないから大丈夫だよ?」






バチン!



バチン!!






しれっと近寄る青年に再度


右、左と往復ビンタが襲う


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