24 英雄
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/13 21:40
「すごい! あっと言うまでしたね 助かりました」
商人リッツがカセンの近くに歩み寄る
「怪物を追って森より馳せ参じた」
その姿は容姿端麗 腰まで伸びた金髪 エメラルド色の瞳
まさにザ・エルフである
「私はエルフのおーーーーーーー!?」
凛々しかった声が急に裏返り、、固まる
「え?」
「なんじゃ? 急にフリーズして どうした!?」
リッツとカセンは目を丸くする
「あーーー、あのの えーーとあぁ いや素性はあまり明かすなと言われているのでな、、今のは忘れてくれ ラフィと言う」
・・・
「お、おん」
二人は瞬きを二度程すると とりあえずの返事を返す
(いや、素性て 名前言いおったぞ?)
(エルフなのは見たら分かるんだけどな~)
「し、しかし、これはどういう状況なのだ?」
エルフは話題を逸らすように話し出す
「あ~、あれか? 追って来た怪物ってのはクモ男の事かの?」
つい2時間程前にバラバラにした異形達にはその名前以外出てこない
「あぁ、そうなのだが 東門入り口でベヒーモスの様な何かが暴れた形跡があった クモ以外にも巨大な何かがいるのかもしれない!」
真剣な瞳でエルフの顔が強張る
「え?」
「こちらには来ていないのか? 入れ違いになれば見落とすはずもないと思うのだが、、、」
「そんな大物居たらあっしらも気づくと思うんじゃがのぉ?」
「いや、まずはここが無事で何よりだ 私はもう少し周りを警戒してから森へ帰るのであなた方も用心してくれ では!」」
ラフィと名乗るエルフはそう言い残すと大急ぎで駆け出して行く
「お~、あまり無理するでないぞ~ しかしのぉ、今からソレの討伐もしんどいのう」
赤鬼はエルフにひらひらと手を振り腰を伸ばし始める
「いや、え~と もしかしてなんですけど それって」
何かを言いにくそうに商人は苦笑いを浮かべている
「十中八九 貴女が暴れた跡を見て勘違いしたんだと思いますよ?」
銀髪の少女?をおぶりながら従者がこちらに向かって歩いて来る
「ほぅ、、あっしはベヒーモスか むぅ しかしまぁ、天然ちゃんじゃったのう」
「ちょっと不思議な人でしたね似合わない大きな剣持ってましたし いや!それより!何故あの人達に襲われたのかも分かりませんでしたが皆さん命の恩人です それに町の人からも英雄として称えられるでしょう!」
商人リッツは周りを察したのか少し声を大きめに話始める
気付けば周りの家、建物からぞろぞろと人が集まり出し注目の的である
「化け物退治に放火犯の撃退! もしなんでしたら今夜はここで宿を取りませんか? 色々と説明もいるでしょうし きっと感謝されますよ」
流石は商人と言った所か、宣伝交じりに話を始める
「あ~そうしたいのも山々なんじゃがの」
「えぇ、我々は一度帰るとしましょう」
ボロボロの衣類のまま二人の言葉が急ぐ
「え~、お疲れでしょうし、、、もったいないですよ?」
後半の声を小さく喋る商人に従者がすかさず意図を上手く汲み取る
「あ!では リッツさんはここに残って町の方達に説明をしてもらえませんか 私達もそれだと助かりますし リッツさん的にもうまみがあると思います」
「!?それはもちろん良いんですが、逆に良いんですか!?」
「えぇ、我々は急ぎの用事が出来てしまいましたので」
「そうじゃの、じゃあ兄ちゃん喫茶ギルドに立ち寄った際は約束のお酒をよろしくの!」
「もちろんですよ! それだけではなく報酬もたんまりと持って行きますので期待していて下さい 馬車は荷台だけ交換して乗って行ってもらって構いませんので」
「お~、それは助かる! では急ぐとするかの」
赤鬼と巫女を背負った従者は馬車へと急ぐ
「では運転は俺がやりますんで カセンさんはシエル様と一緒に少し睡眠をとって下さい 2時間、、くらいですかね」
「お~至れり尽くせりじゃの」
荷台に乗ると早速カセンは子猫を持つかのようにシエルを抱きかかえる
「普段生意気なロリ巫女をすりすり出来るのはたまらんのぅ」
「多分ちょっとやそっとじゃ起きないと思いますけど 変な事しないで寝てくださいね?」
「にししし あぁ、そうじゃの、、少しでも温存しておかんとな」
少し前から二人は同じ事を考えていた
(もしかしたら)
(ジンが危ない)
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