23 炎火

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/13 21:20


近くの建物にも移る程の大きさの火球がシフを襲う


(まずい、これは   どうする  全員は守れない)

抱えていた二人を咄嗟に逆側の地へ放り投げると急いで商人を抱え上げる


「え、え」

商人リッツはされるがまま抵抗はしない


「顔は伏せて!」

決して華奢な訳では無い青年を抱えたままに従者は壁上に飛ぶ




ゴオオ  ガシャア




「ふふふ、あの日もそうでしたからね 他人相手に命懸けちゃって その人に付いて来て正解でしたね」

そのまま二、三、四発と追加の火の玉を次々に放つ


「ふぅ、この火の海なら逃げられはしないだろう」

炎は次々に燃え移りあっと言う間に辺り一面を覆う


「おい、さっさと巫女をやっちゃおう 目を覚ましたら面倒だ」

魔法使いは二人で頭上に巨大な火球を作り出す




「そりゃ起きるっつの」

シエルの放つ光の矢が一人の肩を射抜く


「ぐあ  この」

多少小さくなった火の玉をそのままシエルへ放つ




ドゴオン!!




爆発音と共にシエルの手前で地面が破裂し炎を掻き消す


「な、、なんだ?」



「お前 本当に規格外だな」



カセンが拳で地面を抉る様に殴り飛ばしたのだ



「あたた、身体中まだ痛いんじゃからぶん投げられたら嫌でも起きるぞ?」

赤鬼は首を擦り、腕を回す


「なっ またコイツか」

「おい、ソイツはまずい  撤退だ」

自分達の前方向へ炎の渦を放つと一気に火柱が出来 壁となる


「くそ! 毎回なんなんだ」

「いいから! 急げ!!」

火柱はあちら側とこちら側を綺麗に分けると建物に燃え移って行く


「ちっ、化け物が!」

そう言い残すと 魔法使い達の背中がもりあがり始める




「生け捕りたかったがな、、おい赤鬼 突進だ ぶちのめせ」

ロリ巫女が真顔で炎の壁を指指す


「いやいやいや、獣に命令するみたいに簡単に言うでない アレに飛び込む気はないしこのままじゃ大火事になる 町を優先するぞ」

向こう側の空に魔法使い二人が『飛んで行く』姿が見える


「はぁ、くそが   なるほどなアイツらは最初からあっち側って事か」

口は悪いが何かを確信した顔付である


「なんじゃあの『翼』はあやつらはバードマンか?もう訳分からんのぅ じゃがとりあえずは先に火を消さんと おい!巫女」


「あ? 私はもう動けないからとりあえずシフのところまで運べ」

座り込みながらふんぞり返っている


「、、お~お~弱ってるのに偉そうなんじゃの そもそもあの従者は無事なんか?」


「あの程度じゃ流石に死なないだろ 頭以外を治してやらないと」



「恐縮です、、デレの部分ありきですが色々な意味で出て行きにくい事言わないで下さいよ」

従者が商人リッツをお姫様抱っこで抱えたまま建物の上から飛び降りて来る


「おう、ボーイズラブ 天下の巫女様をぶん投げやがって ちょっとこっち来い」


「うえ~嫌ですけど、、、だっこですか?」

商人リッツを降ろすと殴られ覚悟でゆっくりと近づく



ゴス!



意外!!

巫女の頭突きがシフの眉間を襲う

「ふおおお」


「時間も無いからこれで許してやる  さっさと背中貸せ」

そう言うとしゃがみ込んでいるシフにぐでっとおぶさる、、と同時に発光を始める



「、、、すいません」

初撃で左後ろ足 その後の火の玉はすべて背中に浴びた様でシフの背中は酷い火傷を負っていた


「うるせ~このまま寝るから火事は  任せる」

いい加減魔力が枯渇したのか発光が弱まりそのまま寝息へと変わる



(なんかホタルみたいじゃの?)

「お? お~、兄ちゃんも無事だったか? とりあえずあっしは遠めの所から火~消して行くから兄ちゃんは村人誘導してくれい」

カセンはふらふらしながらも商人リッツに指示を出す


「分かりました、感謝とお礼は後ほど必ずしますので」

商人はそう言い放ちカセンと逆へと走り出そうとする、、が

「いや!待て!! 大丈夫だ火の手は私に任せてくれ!」


凛々しい声が響き そのまま詠唱を行うと建物に移った炎が次々に鎮火されて行く



広範囲の水魔法だ



「お~お~大したもんじゃ助かるぞ~  しかし姉ちゃんべっぴんじゃの!  何者じゃ?」



エロオヤジの様なカセンの台詞と共に全員の視線が集まる



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