21 要領

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/13 17:30


ギルドから北西 エルフの森からは西 港町からは北に位置する



小さな村



「最近物騒なもので本当に助かりました」


「まさかこんな簡単に塞いでもらえるとは」

この村の北には古代遺跡があるのだが最近調査に来た者達が破壊活動を行い村にまで被害が出ていたらしい


「もう安心だね」


「頼んでみるものだね~」


法被を着崩した様な和装美人が村人に囲まれ称えられている

「お~! しかしのぅ 岩で塞いだだけじゃからしっかり王都に情報共有した方が良いと思うぞ?」


「王都には何度か要請を出したのですが、、」


「動いてくれないんです  もう2ヵ月目ですよ!?王様はこんな小さな村の事なんて気にしてないんですよきっと」


「ふむ?なるほどのぉ  帰ったら巫女にでも相談してみるとするか」


「巫女って白銀の巫女様ですか!? まさか、お知り合いなんですか?」


「あ~、まぁギルドにおるしのぅ?」


「凄い組織なんですね!?」


「カカカカ、何かあったらまた頼むと良い」

(組織って程の人数いないんじゃがの)


「ありがとうございます  あ、それでですね  今回もなんですが追加で依頼を頼んでも宜しいですか?」

代表の様な男が前に出る


「お~?今後はギルドを通して欲しかったのじゃが」

(ま~たジンになんか言われるのも嫌じゃからの)


「え あれ、え~ダメでしたか   困ったな、急ぎだったのですが」

この村からの依頼は何かと毎回要領が悪い



「むぅ今からか?  ん~む〜まぁ、しょうがないのう」


「あぁ!良かった助かります!! 運び物の護衛だったので」


「わざわざこんな時間にか?」


「えぇ、あ、いや~えぇっと~ どっちみちお帰りになると思っていたので」


(じゃあギルド方面なのかの?)

「物はなんじゃ?」


「え~と~王都宛なので一度ギルドに帰還後で構いません  たしか物は主に遺跡からの発掘品です、あ、そうそう今回は珍しい物が少しありまして」


「なるほどのぉ  帰れるならついでじゃ まぁ良いじゃろ」


「積み荷は準備してあります  契約報酬等は今回のも含めて運転係がそのままこなしますので」


「ふむ、ではちゃちゃっと帰るとしようかの」

(急にテンポが良いのぅ?)


早々に荷馬車へと足を運び茶髪の青年と合流する







8/13 19:00


「なんじゃあ、寄り道先があるなら先に言って欲しかったのぅ」

荷台から運転席に愚痴をこぼす


「ははは、あの村長代理、要領悪いし言いにくい事は最後まで言わないんですよね~」

運転手をする青年はそう言うと馬車を止め港町で三件目の宅配準備をする



「お~?やつは代理だったのか」


「えぇ、少し前に王都から派遣されてきましてね」


「ほう、前のはどうしたんじゃ?」


「私も一般の行商人なので詳しくは分かりませんが調査に向かって帰って来なくなったとかなんとか」


「一般の? 契約やらなんやらかんやらは兄ちゃんに任せてあるみたいに言っておったぞ?」


「あぁ、はい色々と急だったみたいで、、たまたま依頼されたようなモノなんですよ」


「緩いのう!?」



「一応定期的には通ってましたので信頼してもらえているのだと思います   あそこは美味しい話がたまにあるんですよ~   あ、ここら辺が町の端っこですね」


(そういう事はあっしらギルド側の人間に言う事ではないがのぉ)

「はぁ、そうかそうか あ~もう早く帰って飲みたいんじゃが」

そこそこの大きさの麻袋を鷲掴みで持ち上げる


「しっかしすごいですねそれ、中身鉱石ですよ?」

青年は目を丸くする


「お〜?もうちょっと女の子らしく持った方が良かったかの?」

両手で持ち直し麻袋を抱っこスタイルにしてみる


「いや、女の子らしい子はまず持てないと思いますけど   ちなみに飲みたいってお酒ですか? ここでの宅配は終わったのでしばらく移動ですし買って来ましょうか? 奢りますよ」

商売人としての才能なのか『味方にした方が良い』と言う事が分かったのだろう


「ふおお!良いのう!  カカカなるほど、旨い仕事が来る訳じゃな」

先程までブー垂れていた顔が一気に笑顔に変わる


「いえいえ、暇な移動時間に美人さんと飲めるなんてラッキーですよ〜 あ、そこの脇に置いておけば良いみたいです」


「お〜お〜、褒めてもらうのは嬉しいが何も出ん ぞ?」

指示通りに鉱石の入った袋を降ろすと町の外を見て動きが止まる



「どうかしまし、、、なんだ?    あれ?」

カセンの目線を追うと暗がりでハッキリは見えない


だが、、大量に『何か』がいるのが分かる



「軍隊?  この時間に?こんな所に?」

青年は確認の為少し近寄るが

「兄ちゃん!」


「あ、はい?」

呼びかけにふり返る


「全力で酒場まで走ったらしばらく先に飲んでおれ」


「え?」


「ちゃ~んとあっしの分も残しておくんじゃぞ?」


「え  え??」


「走れえ!!」


「え!? あ、はいいいい」

カセンの声と同時に何かの群れが土煙を上げて向かって来る









その数











約500


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