17 依頼

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/13 9:00


と言う事があり 喫茶ギルドをやる後押しにもなった訳だ


(もっと早く国が動いていたなら、、、とも思ってしまうがそんな事、今更だ)


この土地を生かして各方面にアプローチをしている

国が動く程の事では無い小さな依頼や動きにくい不確定な依頼なども取り込んでいけば情報も入って来るに違いない


と巫女様も考えているらしく すっかり住みついている訳だ




(しかしあの時のお子様ランチはツボったな~)


従者揃って横蹴りを死ぬ程喰らったが本人はなんだかんだ綺麗に平らげていた


このロリ巫女は基本何かを与えておけば大人しくなる

その上好き嫌いせず「美味い美味い」言って食すので作る側は嬉しくもあるのだが


「ぁ? んだコラ?」


(これですよ  口調、なんなの?ヤンキーなの?)

どうやら考え事をしながらパンを齧るシエルに見入っていたようだ


「い、いや~、スープも飲むかな~って」

すかさず残り物の野菜スープを火に乗せ温める


「    飲む」

何かを警戒したのか少し間があったが答えはイエスらしい






「てかさ、みんな 依頼選びすぎじゃない!?」


苦情から入ったがなんだかんだでここ二ヶ月、依頼自体はかなりもらえているし、、なんなら喫茶店としての利益は『そっち』で完全に超えているのだが


「お~?しかし猫探しだけの為に王都へ向かうのもどうなんじゃ?」

赤鬼さんが勝手に保存庫を漁り朝から一杯ひっかけてやがる


「違う違うそれはこっちの外壁塗装の手伝いと~ この港までの警護もセットにしたら良いじゃない!?」

二枚、三枚と依頼表を見せつける


「猫が見つからずに時間かかったらどうするんじゃ?」


「受注する時にしっかり説明してるから言えば大丈夫だって」


確実性の欲しいもの

来れたらでいいもの

日程の決まっているもの

その他出来高制や報告後の報酬制

言っちゃなんだが我ながら依頼交渉時にはかなり落とし込めている筈なのだ


「向き不向きも分けてるつもりなんだけどな~」


もちろん受注自体は本人達で決めるので無理強いは出来ないし皆やっていないと言う訳では無い


例えば

キーロは王都へ帰る際についでの届け物だったり

カセンなら道を塞いでる大木の除去

シエルは病人の介護(と言うか治療)


とか なのだが


カセンは除去後ついでに依頼を受けて来てしまったり

シエルは病人の寝てる間に治して速攻で帰って来てしまったり


中々スムーズには行かないものだ




その中でも唯一!

毎日!!

あれこれしっかりと消化してくれている好青年がいるのだ


「おはようございます~、今日も朝食お願いします」


「よろこんでー!」(キター)

彼はバル 主人公ですと言わんばかりの金髪金眼  冒険者をやっているらしい


「ははは、ジンさん今日はテンション高いですね なんか良い依頼でも来ました?」


「いや~色々入ってるけど バルはそこそこの期間滞在出来たりするの?」

手元で調理中のベーコンがついついおまけで三枚になってしまう


「えぇ、大丈夫ですよ 色々出来て楽しいですし旅費がほぼ尽きていたのでこちらも助かります」

(マジ良い子! ってかこの子この世界の主役なんじゃねえの?)




「ならコレなんてどう?   調査依頼」

朝食と共に依頼表をテーブルに置く


「水の  調査ですか?」


「行商人のツテなんだけど何度か手紙でやり取りしててね、この村からの依頼なんだけど森から引いてる水が最近美味しくないんだってさ」

地図は自分の為にも大きなものを店の壁にかけてある 


「浄水ですか? 俺 魔法とか使えないですし機械には疎いですよ?」


「いや大丈夫、基本はどうなっているかの調査で良いんだって  掃除で済むなら追加で料金もらう事も言ってあるし」


「なるほど?」


「距離があるらしくてさ、冒険者なら野宿とか森歩くのも慣れてるのかな~と思って」


「それは問題ないですけど 森のどの辺ですか?」


「流石! こっちからだとエルフの森入ってから  この辺りらしいんだけど」

地図を指でなぞりながらの説明である


「浅いエリアですか、比較的安全なところですね」


「エルフが戦争中ってのはそこの巫女様から聞いてたから下調べはしっかりしてあるよ  それでも現地は分からないから何かあったら途中で棄権しても良いし    報酬自体はレポートくれれば店から出すから安全を重視してほしい」


「慎重にって事ですね、分かりました」


「依頼よりも命優先だからね!」


「さっきまでは選びすぎとか言っておったがの?」

赤鬼が横からちゃちゃを入れる


「いや! 意味合いがちがうだろ?」








バルが食べ終わったタイミングで食後にコーヒーを入れる

「あ~、あとさ 余裕があるか全然分からないんだけど」




コトン




「あ、ありがとうございます  何か追加です?」






「俺もついて行きたいって言ったら どんな感じ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る