16 契機
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
5/20 17:30
店を購入する1週間程前の話だ
(よし、行商人の人達とは上手い事契約出来たな)
ジンはキーロ達との会食後から復興作業終了後や作業の無い日等合間を使い準備を整えていた
(土地の物価も調べたし、資料もほぼ出来てる 地理もそこそこ頭に入れた)
復興自体順調に進んでおり残り3日もかからないそうだ
(、、パソコンが欲しい はぁ、今日は呑みにでも行くかな)
キーロはもう王都へ帰っている為一人で旧アイリの店へと向う
配給担当も殆どが居なくなっているが犬耳のおばちゃんは最後までいるみたいだ
「すいませ~ん配給飯とビールを 『1つ』だけ下さい」
咄嗟に周囲を確認するがどうやら赤鬼さんは本日まだいないみたいだ
「はーいすぐに持って行きますね!」
(ふぅ、今は無駄に金使えないからな~、、ってなんかあっちのテーブル揉めてね?)
「だ~か~ら~! 未成年じゃねえって じゃあこっちのヤツが飲むって事で良いだろうが」
ちっこい銀髪の少女が配給担当に絡んでいる
「勘弁してくださいよ~配給係で来ているだけなので問題起こしたくないんですよ~」
「シエル様、まだ完全に完治してる訳じゃないんですから、やめておきましょう ね!」
「ね! じゃねえよ」
包帯まみれの腕で従者が八つ当たりをされている
「分かりました、ではサービスで配給のご飯よりちょっとだけ良いものを持って来ますから、それで勘弁して下さい」
そう言うと配給担当はそそくさと厨房へ戻って行く
「ちっ、くそが」
(あれって、詐欺巫女!!?)
「どうして? ここに?」
つい言葉が出た
「ぁ? お前 誰だ?」
「あ! ほら あの時の 100万円の人ですよ」
従者が咄嗟にフォローを入れる
(110万な!!)
「あ~いたな なんだ、まだ居たのか」
「え、あぁ~復興とか 色々」
「ふ~ん、お前金持ちだったな確か よし奢れ」
(今度はカツアゲですか!?)
「いやいや、今なんかちょっと良いの作って来るって言ってたじゃん」
コトン!
最悪のタイミングでジンのビールが届く
「ソレ」
よこせと言う事だろう
銀髪の少女がこちらのテーブルに座り直す
「くぅ、分かったよ あ! ただ、少し色々聞かせてもらっても良いかな?」
罪悪感が込み上げる中、少女の前にビールを置く
「良かったですね、シエル様」
「ん、美味い美味い つ~か少し色々ってどっちだよ?」
従者に目もくれずに中々の飲みっぷりだ
が
「もう一杯来たら考える」
(コンノヤロウ)
「本当だな? って本当に未成年じゃないんだよね?」
「話すのヤーメタ」
「あ~~分かった!分かったから!! すいませ~ん」
空のジョッキを自分の元へ戻しながらおかわりを呼ぶ
「で?」
二杯目があっという間に空になっている
(なんなの?この世界の女の子はお酒で出来てるの?水の代わりなの?)
「あ~えっとさ」
聞くならこの人達だろうとずっと思っていたので例の事を言葉を選びながら聞いてみた
「あ? ふ~ん、意外に考えてんだな」
シエルの思惑を『特別に』ゆっくりと聞かせてくれた
彼女らは本来エルフの森へと向かう予定だった事
異形の討伐隊として編成されたが魔物が各所で確認されていたのはもっと前から知っていたと言う
国も不確かな事ではすぐに動けず 国からしっかりと命を受けたのは異形の魔物が初めて確認されてからもう半年以上は経っていたらしい
(確かに、『俺のいた所』でもよくある話だ、事件が起こらないと動かない)
大聖堂では国が動く程の事では無い小さな相談や軽い魔物討伐も引き受けていたらしく
シエル独自では色々動いていたんだとか
被害が起こったタイミングに関しても俺と同じく違和感があったと言う
「それに、あの吸血鬼の言ってたセリフ いやここまでだな お前には関係無い」
「な? も、もう一杯飲むか?」
営業職での手慣れた一撃
「飲む」
「お! す、すいませ~ん!おかわり下さ~」
「けど喋らんぞ」
「い~?」
(詐欺巫女め!!!)
「ご飯出来ましたけどこちらで召し上がりますか?」
横槍が入る
「あぁ、ここで良い」
しっかりとジョッキはジンの元に返されている
「はいどうぞ~お兄さん達は普通ので勘弁してくださいね」
軽い炒め物とご飯と汁のみが置かれ
「お嬢ちゃんはこちらね~」
シエルの目の前には
「ぶふぅ!」
「ぷ、、、ぶはあ」
俺と従者は耐えきれずに吹き出す
小さなハンバーグにナポリタン、ウインナーとエビフライ
決めてのケチャップライスには薄く卵が乗せられ簡易的なオムライスの様になっている
そしてもちろん頂上には見ろ!とばかりの旗が刺さっていた
「ゆっくり食べてね~ お兄さん達もごゆっくりどうぞ~」
悪気の無いとどめが刺される
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