行間 ハイイロノセカイ

 体中がズキズキと痛む。

 何が起こったのか分からなかった。

 ゆっくりと起き上がり、辺りを見回してみる。

 右も、左も。

 前も、後ろも。

 灰色の瓦礫ばかりだった。

 さっきまで綺麗な青色だった空も立ち上る煙のせいで灰色に濁っている。

 一瞬、世界が全て灰色一色に塗り潰されたのではないかと錯覚してしまうほどだった。

 頭の中が混乱する。

 まるで掻き回されているかのように思考がまとまらない。

 意味もなく立って歩こうとするが、痛みのせいで足から力が抜けてその場に倒れ込んでしまう。

 自分でも何がしたいのか、何をしているのか分からず怖くなる。

 自分ではどうしようもないのに、『なんとかしなくては』という不安と焦燥だけが増していく。

 それらに押し潰されそうになったからなのか、

 誰の物ともつかない悲鳴や泣き声が聞こえたからなのか、

 自分を守るように耳を塞ぎ、固く目を閉じた。

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