第5話パワー・ストームの力

 これが生まれ変わった僕・・・・。頭に着いたクワガタのアゴ、肩の少し下に着けられた機械の腕、そして背中にはクワガタの羽、足は人のままである。

「何か不思議な気持ち・・・、本当にサイボーグになったんだ。」

「そうだよ、吉ノ丸君。あっ、そうだ!これを機に名前を変えないか?もちろん君が決めていいよ。」

 マークが提案した。

「そうだな・・・アギトか、いやこれじゃない。アゴオ、アゴト、アゴノ・・・。」

 ある一つの名前が僕の頭にピンと来た。

「これだ、アゴノ!」

「そうか、では今から君はアゴノだ。我々の力として、誇りを持って生きてくれ。」

「これからよろしく。」

 マークとテグー教授の言葉に、私・アゴノは頷いた。




 それから私の新しい仕事が始まった、それはダーク・サイエンスからの攻撃を防ぐこと。防ぐといっても兵士を殺したりはしない、戦闘機や戦車のコンピューターのシステムを妨害して動けなくすることだ。これは想像平和研究所のモットーに基づいて作られた武器である。もちろん毎日襲撃がある訳ではない、そんな時は特に普段と変わらない生活を保っている。ただ想像平和研究所の守護者として、私は有名になってしまったようだ。

「アゴノ、昨日はありがとう!!」

「君はここのヒーローだ!!」

「アゴノ、サイン下さい!!」

 吉ノ丸だった頃はまさか人気者になる事は微塵も思わなかった。私は想像平和研究所の人達ために存在する、それだけで充実感を感じた。だがその日、帰宅するとテグー教授に告げられた。

「明日、ダーク・サイエンスが新兵器で攻めてくることがわかった。そこで君を、バージョンアップさせるけど、いいかな?」

「もちろんいいですよ。」

 私はこの時、ダーク・サイエンスの本気を知らなかった。






 バージョンアップは直ぐに終わり、今日の午前0時に私は前線に立った。明日の何時に攻めてくるのか解らないからだ。日が昇りしばらくたった頃、機械の重低音と嫌な気配を私の体が感じ取った。

「ついに来たか・・・。」

 そして私に巨体なロボットが近づいてきた、それはトラ・ワニ・ヘビの頭を持つ、ドラゴン型の兵器だ。三つの顔が私に狙いを定める。私はジャミングを実行したのだが・・・。

「ん?動きが止まらない・・・。」

 三つの頭の口からはエネルギー光線が充填され、放出寸前だった。





 私は最初の攻撃を辛うじて避けた、その後私は兵器の攻撃を避けながら、想像平和研究所から遠ざかっていった。とにかくあんな攻撃を浴び続けたら、想像平和研究所が壊滅してしまう。とにかく離れなければならない、あの楽園だけは守らなければならないのだ。

「はあ・・はあ・・・、あいつ強すぎる。私の使える手の全てが通じない・・・。もうここまでなのか・・・。」

 私は絶体絶命の立場だ、もう動けるエネルギーはほとんどしかない。三つの頭は光線の充填を進めている。私が消えるまでのカウントダウンが迫る。

「アゴノ、お主は平和を求むか?」

 突然、謎の声がした。

「アゴノ、お主は平和を求むか?」

「私は、平和がいい!!」

 すると私に物凄いエネルギーが注がれた、そしてエネルギーが全て放出せよと訴えてくる。私は兵器にそのエネルギーをぶつけた。

「パワー・ストーム・バースト!!」

 嵐の力が兵器を襲い、そして兵器は破壊された。あのエネルギーで、危機が消えた。私はエネルギーの力に、呆然とするだけだった。




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