第2話平和へのいざない
孤児院を追い出された僕・吉ノ丸はあてもなく歩いていた、これからへの答えも見いだせずただ浮浪者としての人生を歩くのだろうか・・・。
「さて、今日の食事と宿はどうするか・・・。」
僕は考えてばかりいて、周りに目を向けていなかった。突然、浮浪者の男に荷物を奪われてしまった。
「あ!!それ僕の、返せ!!」
「ガキはすっこんでろ。」
僕は男に蹴り倒された。男は荷物の中から金を全額取り出した。
「ガキが持つには高すぎるんだよ。」
男はそう言うと金以外の荷物を置いて走り去った、荷物を全て取られることは無かったが、これで今後の飯は無しになってしまった。
「・・・いよいよ、追い詰められたか。」
僕はただ呟くことしかできなかった。
どれぐらい歩いたかは分からない、ただ僕は町の大通りに来ていた。そこにはコンビニやファミレスなど食事するとこは沢山あるも、無一文の僕には入れない。
「あそこに入りたいなあ・・・。」
あそこでは一体何が食べられるのだろう・・・、食べたいのなら金が必要だ。
「・・・盗むしかない。」
悪いことはしたくないが、生きるためだ。僕はファミレスに入ってくる客に狙いを定めた。看板の物陰に身を潜めると、一人の紳士と大きなトカゲが入店しようとしたところだ。
「よし、今だ!!」
僕は大きなトカゲの持っているカバンめがけて走り、カバンを奪い取った。しかしすぐに紳士に取り押さえられた。
「君、そのかばんを返しなさい。」
僕は観念して、紳士にカバンを返した。
「どうして盗みをしたんだ?」
トカゲが尋ねた。
「実は今日孤児院を出たばかりなのですが、金を取られてしまいました・・・。」
「身分証を見せれくれるかい?」
紳士に言われて僕は身分証を見せた、紳士は一通り見ると僕に身分証を返して、思いがけない事を言った。
「じゃあここのレストランで食べさせてあげる代わりに、話をさせてくれないか?」
空腹な僕は、疑うことなく紳士の話に乗った。
紳士はマーク、トカゲはテグー教授だと名乗った。僕はエビフライ定食を食べながら、マークとテグー教授の質問に答えた。僕が食べ終えると、マークが言った。
「私は想像平和研究所に君を連れて行きたい。君はいいかな?」
「理事長、どうして急に?」
「君には見どころがある、私はそう思う。」
僕は考えた、想像平和研究所は「絶対侵入禁止エリア」だと孤児院の先生から学んだ。しかし断ったら、明日も食べていけるかどうか分からない。
「分かった、僕は行くことにする。」
理事長のマークは、笑みを浮かべながら頷いた。
レストランを出た僕とマークとテグー教授は、直ぐに迎えに来た車に乗った。そこから二時間程して、マークとテグー教授の泊まるホテルに着き、ここで朝まで過ごした。その後ホテルをチェックアウトして、秘密裏に来るバスに乗った。
「一時間後に想像平和研究所に到着するよ。」
「うん・・・。どんなところか、少し怖いな。」
「大丈夫、聴くと見るでは大違いだから。」
僕は不安と希望を抱えて、座席に座った。それからしばらくしてゲートをくぐると、小さな建物が軒並みあって。その中心に大きな研究施設が見えた。
「あの大きな建物が、想像平和研究所だ。」
隣に座ったマークが、誇らしげに言った。
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