思い出は喜びより悲しみの方が色濃く残る。


 夜、一人で特にテーマを決めることもなく、ただ思いに耽り、手帳に書き留めたかのような文章たち。
 願望であったり、感慨であったり、恐怖であったり、傍観であったり。
 変化してないようで、変化している。そんな人生の独白。



 変化、言葉、悲しみ。

 これらがこの作品を取り巻く要素だった。
 語弊を恐れず言うなら、この作品は「何かハッキリとした教訓」を与えてくれることを期待するものではない。
 なぜか人は幸福よりも不幸に、喜びより悲しみに至ったときに深く自分を見つめる生き物のようで、その湧出したものがこの文章だと思われた。

 この作品における表現を借りるのであれば、
「何も生まない時間がたくさん必要とされるこの世界」に生きる人の吐露なのである。