幸福を望まれている。

私はきっと、恵まれているんだと思う。

それだけは確実で疑いようのないことで、

だからこそ変わりない普通の一人として将来幸せになって欲しいと願われるわけで、


なんとも酷な、と思う。

それはきっと傲慢で強欲で、私が間違っているんだろうけれど。

望まない幸福を望まれているというのは、なんとも酷な、と何度でも思う。


別に、幸せになりたいだなんて思っちゃいないのだ、私は。

ただ、叶うのであれば誰かの為に生きたい、と。

誰かの支えになることすら強欲だというのなら、糧となり踏み捨てられてもそれでいい、ただただ私ではない誰かの為に生きたい。そして死にたいと、ずっと思っている。


だけれど、あぁなんと酷な。

私は誰でもない私の為に生きることを望まれている。

あまりにも恐ろしく、怖くて、震えそうになる。逃げ出して泣きたくなる。


それでも逃げ出すことを許せるわけなんてない。

私はきっとたくさんのものを貰いすぎていて、もらいすぎて返せていないのも、私の惰性故なのだから。


私が幸福を望まれているのなら、嫌だと喚きたくても立ち止まり続ける訳には行かないじゃないかって、

目を逸らしたくとも進むしかないだろうと。


本当に、傲慢で強欲で不躾な大莫迦なんだろうと私は思う。

だけどそれでも漏らしてしまう私の悲鳴を、許して欲しいと私は祈る。

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