五章 「ビー玉の秘密」

「ゆかちゃん、いいことを教えてあげるよ。大切な人からもらったものには願いを叶える力があるんだよ」

 それは十年前の約束をした日の前日のことだ。

 おばあちゃんが教えてくれた。

 そう言ってあのビー玉をくれたのだ。当時両親は共働きだったから、二人が帰ってくるまでおばあちゃんと一緒にいた。

 おばあちゃんは私にとって大切な人だった。

「うん、わかった。やってみる」

 私はその頃からゆうくんのことが好きだった。

 好きなところをあげたらきりがない。好きが過ぎる。

 運命の赤い糸がつながっていたらどんなにいいかいつも考えていた。

 だから、ビー玉のおまじないはゆうくんとの恋がうまくいくようにだった。

 十年前のあの日、ビー玉をもって告白をするためにあの公園に行った

 でも、実際に言うとなると恥ずかしくなって言えなくなった。

 だから、十年後の私なら勇気も出ているだろうと砂場に埋めることにした。十年後に見つけだしてきっとその時に言おうと自分に誓った。

 それに小さな頃の私は、約束をしたらゆうくんもその頃まで私のもとにいてくれるだろうと単純に考えていたのだ。

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