六章 「両思い」

「えっ、伝えたいことってそういうこと? 困ったなあ」

 裕一は少し顔をそらした。

 少し私は不安になった。でもすぐに笑みがこぼれてきた。

 だって裕一が、「僕から告白したかったんだけどなあー」とぼやいているのが聞こえてきたから。

 そして、私はどういう経緯で告白したか話した。

「僕も十年前から好きだったよ。まさか結花もだったなんて嬉しいなあ」

 私たちは、もう十年前からすでに相思相愛だったのだ。

 運命の糸はやっぱりちゃんと結ばれていたのだと私は嬉しくなる。

 ただ、それを言葉にしなかっただけ。

 それだけのことなのに、こんなにも心が潤う。

 気持ちを言葉にする大切さをひしひしと感じた。

「どういう経緯からはわかったけど、一つだけ質問していい?」

「うん、いいよ」

「おまじないをかけたあのビー玉がなかったのに、どうして言ってくれたの?」

「それは、裕一も「大切な人」だから」

「ありがとう」

 私は恥ずかしそうにしていると、裕一が頭をぽんぽんとなでてくれた。

 空を見上げるともう星が光り輝いていた。

 私はガラス玉を握りしめ、裕一におもいっきりくっついていったのだった。

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