第6話 Promise ~約束~
夏休み前の放課後。
「昴君」
「何や?」
「夏休み期間中、大阪にいるの?」
「いや、ずっとはおらんで。バイトあるし」
「そうなんだ」
≪いつから行って、いつ帰って来るのかハッキリとしてないんだ≫
「何で?」
「ううん聞いてみただけ」
「そうなんや」
「うん」
私の席に歩み寄ると、のぞき込む昴君。
「な、何?ち、近いんだけど」
「ホンマ幼馴染みにソックリやなぁ~思うて。本人なんちゃうん」
「………………」
「なぁ~んてな」
頭をポンとする昴君。
ドキン
こんな風に
触れてもらう事もなかった
あの頃
中学の時
両想いだっただけの私達
何もないまま
自然消滅してしまった
こうして
成長した私達に
奇跡起きますか?
一人の男と女として
いままでになかった
胸のトキメキありますか?
「ほな帰るわ!」
「…う、うん…」
帰り始める昴君。
「昴っ!」
「えっ?」
私は呼び止めた。
「何?ちゅーか、いきなり呼び捨てかいな」
「幼馴染みだから…」
「えっ!?」
「うちら幼馴染みやからっ!」
「繭…ちゃん?いやいや、冗談きっついわ~。ドッキリかなんかか?」
「ちゃうわ!ホンマに……うちらは……」
「………………」
「やっぱり……信じられへんよな……」
「繭…?」
ドキン
久しぶり呼び捨てにされた私は胸が大きく跳ねる
「正直……うちも、どう接して良いか分からんくて……ごめん…呼び止めて……帰ってエエよ…すば……る…」
グイッと抱きしめられた。
ドキン
「ホンマに…繭なんか?」
抱きしめた体を離す昴。
私はゆっくり頷いた。
スッと両頬を両手で包み込むように優しく触れると優しい眼差しで見つめる昴に私の胸はドキドキ早鐘のように早くなる。
「昴…?」
「本物か?」
「えっ!?いやだからさっきから言うてるやん!」
「生きとったんや!」
「な、何なん?失礼やなっ!もうエエわ!ホンマ帰ってっ!」
私は押し離す。
「信じる信じないは任せるから、それだけ言いたかったんや!」
「ソックリやなぁ~と思うてたけど……間違いないねんな?」
「うん…」
「俺…どうしても謝りたい事あんねん。中学ん時、クリスマスイブの日、お前来るって知らんくて他のクラスの女子やってんけど、ホンマ何もなくて、その子に聞いたらクリスマスイブは恋人と過ごしたりする言われてん。その子もお前が彼女やって事分かってたんやけど…」
「………………」
「お前はプレゼント用意してたのにから俺は何も用意してへんかったし。謝る事も、お礼を言う事もないまんま嫌な思いさせてもうて別れてしもうて……年明けたらお前引っ越しておらんくなった事も知って、そのまんま別れて自然消滅なってん……」
「………………」
「メッチャ後悔してる俺おったんや……。…俺…繭に何してやったんやろう?思うて…」
「……昴……」
「ホンマ……すまんかったな」
私は首を左右に振った。
「昴…お願いがあんねん」
「何や?」
「…うちな……夏休み…昴と花火大会行きたい…」
「花火大会?」
「大阪の……花火大会……夏休み大阪の地元の花火大会に行くように友達と話しててん」
「そうなんや。別にかまへんよ。夏祭りデートしよか?」
ドキン
デートという言葉に胸が大きく跳ねた。
「今までの空白の時間埋めよ。繭の願い叶えたるわ。一緒に大阪帰省しよか?」
「昴…」
「花火大会だけやなくてもエエよ。付きおうたるわ」
「せやけど…」
「遠慮すんなや!俺がそうしたいねん!それやったらええやろ?」
「昴…」
「詳しい事、また連絡するさかい!楽しみにしときぃ」
「昴…ありがとう……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます