第5話 幼馴染み

「もしもーし!繭やねんけど」

「繭?どないしたん?うちの声聴きたくて連絡してきたん?」


「そんなんや~メッチャ寂しくてなぁ~どこでもドア会ったら会いに行きたいわ~」

「どこでもドアなぁ~今、ないねん!」


「ないんかぁ~?何で?」

「今、レンタル中やから戻って来たらええよ?」

「いつになるん?」


「せやなぁ~100年後やな」

「100年後ぉっ!?アカン、アカン。うち、死んでるわ!」


「で?どないしたん?」

「そう!本題やねんけど、夏休み帰る予定やねんけど花火大会いつあるん?」

「花火大会?」



大阪の友達。


長嶺 美憂(ながみね みう)と電話中。


私達は色々と話をしていた。




「そういや繭の学校に転入生けーへんかった?」


「転入生?あー、うん、来たで。幼馴染みと同姓同名やし顔もそっくりやったからメッチャ驚いてん。何で?」


「それ、同姓同名でも顔そっくりさんでもないで」


「えっ!?」


「正真正銘、あんたの幼馴染みの昴君やから」




ドキッ

胸がが高鳴る。




「う、嘘やん!ドッキリとかなんちゃうん?変な冗談辞めてな」


「ドッキリでも何でもないねんて!繭が転校して、しばらくして昴君も転校してん。せやけど、またこっちに戻ってきたんよ。そうしたら、またすぐに転校してもうてん」



「………………」



「んで今は、繭の学校に転入生として通うてんのや。偶然かもしれへんけど、事実やし本当の話やから。これを機にお互い確認しい。二人付き合うてたんやから。何か接点があんねんから」






藍村 昴


同姓同名


そして彼は


私の幼馴染みだった





ある日の学校帰り。



友達の付き合いで寄り道をした。



「じゃあね」

「うん、またね」



私達は別れる。



その直後だ。




「繭ちゃん」




名前を呼ばれ振り返る視線の先には昴君の姿。


幼馴染みと知って名前の呼び方に違和感。


しっくりこない。




もし幼馴染みと知ったら


私達は


あの頃みたいにもどれるのかな?




馬鹿しあって……


笑って……



だけど


名前を呼ばれる度に


私の胸は小さくノックする




「昴君」

「珍しくないか?街で会うなんて」

「本当、そうだね」

「何処に行ったん?」

「カラオケ」

「そうなんや」


「昴君は?」

「ゲーセン」

「そうなんだ」



私達は色々話をしながら帰る。



「ねえ、昴君って彼女つくらないの?」


「えっ?あー、う~ん……つくりたいねんけど…幼馴染みのそっくりさんがいてるから恋でけへんねん」


「えっ?どうして?」

「自分の気持ちが分からへんねん」

「そうなんだ…つーか…私がいるからって事だよね」


「せや。他に誰がいてるん?」

「幼馴染み…もしそれが本当だったらどうするの?」


「せやな~…それはそれでエエんちゃうん?」

「そうなんだ」



言うタイミング難しいよね?


私はそんな事を思いながら…………






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