第2話 他人のそら似
それから数年が過ぎ ――――
北沢 繭。16歳。
普通の女子高生であり、がさつでいい加減な男が大嫌い!
チャラチャラしてて女のケツばかり追いかけて……
だからナンパ野郎は大っ嫌い!!
東京に来て約2年の月日が流れたけど街に出る度に、ナンパ、ナンパ、ナンパの嵐。
正直嫌気か差してくる。
特別可愛いとか、そういうの関係なく体目的っぽく声をかけてくる奴は片っ端から文句を言う。
その性格が失恋ばかり。
この前だって ――――
「お前、可愛い系だけど性格がイマイチだし」
「…何それ…顔で選ぶの辞めてくんないかな?」
「所詮、女って顔じゃん。多少の性格の悪さならともかく、お前性格悪すぎだし」
「悪かったな!性格悪くて!」
男友達の一人に好意を寄せていた男の子にフラれてしまった。
その日、ゲーセンでうっぷんを晴らしていた。
「ねえ彼女、こんな時間まで何してんの?」
「見ての通りゲーセンだけど?」
「ねえ遊びに行かない?」
見てみると二人の男の人がいた。
「ナンパするなら他あたってくんないかな?私、あんた達みたいなナンパ野郎が一番大嫌いなんだよね!?ナンパする暇があったら、その脳みそ他のに使った方が良いんじゃない?」
「てめぇ、女だからってふざけんな!」
「せっかく声かけてやったのに、その態度マジムカつくんだけど!」
「せっかく?はあぁぁっ!?せっかくって何?その聞き捨てならない台詞。最低ーーっ!つまりあんた達って体目的だったりする訳?女子高生だからってふざけんなっ!」
「マジムカつく!この女!」
拳が振り上り殴りかかるナンパ男の一人。
「ヤバッ!」
パシッ
背後から拳を受け止める人影。
私達の間に割って入る人影。
ドキッ
「口よりも手で黙らせる気かあんた。それ暴力やで」
ドキン
≪男の人…関西系?≫
「警察(さつ)に行きたいんか?」
「女が悪いんだよ!人が声かけてやってんのにスッゲームカつく事言われたんだよ!」
「だからって暴力はアカンやろ?女の子に傷でもつくってみぃ。責任取れんのか?」
「う、うるせー!」
「今なら逃したるわ!痛い目遭う前に行きや!」
「お前には関係ねえ!引っ込んでろ!」
「あー、そういう態度とんねんな」
グイッと後ろ手に捻り返す。
ドキン
≪強っ!それとも相手が弱いだけ?≫
「痛っ!」
「だから言うたやん。俺、言うたで?どうするん?」
「わ、わ、分かった!分かったから離してくれ!」
助けてくれた男の人は相手を押し離し、二人は逃げるように走り去った。
「す、すみません…ありがとう…ございま…す」
振り返る男の人。
「…す…ば…る…?」
「えっ!?」
「あ…すみません…余りにも知り合いに似ていたもので…」
「あー、そうなんや。世の中3人いてる言うからな。せやけど…名前間違うてへんから超能力者かと思うたわ!」
「そ、そうなんですね」
≪ビックリした!≫
≪アイツ大阪にいるから東京にいる訳ないじゃん!≫
「ほな、俺帰るから真っ直ぐに帰るんやで?もう助けられへんからな!」
「は、はい…」
男の人は帰り始め私達は別れた。
二人の出逢い
小さな恋が
また
始まろうとしていた
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