第80話 美しいか醜いか、それが問題だ
美の基準って、文化や時代でコロコロ変わるじゃないですか。色白・ぽっちゃり・小柄が鉄版で「美しい」とされる文化・時代もあれば、小麦色・細身・長身が美形の条件な場合もあります。
でも、古今東西、「美しい人」が存在するという点は、変わらないのだと思います。(美醜の概念が存在しない文化や時代をご存じの読者さまがいらっしゃったら、非常に興味がありますのでご一報ください)
私は、現代の日本では間違いなく「おかめさん」の部類ですが、ポリティカル・コレクトネスに敏感なメルボルンでは、ワンピースを着てれば「ゴージャス」と言われます(ドヤッ)。あ、容姿に関するポリティカル・コレクトネス(略してポリコレ)を思い出させてくださったちありやさん、前回はナイスなコメントありがとうございました。
メルボルンでは、「ゴージャス」なのにモテない私ですが(おっかしいな)、トルコのイスタンブールに行ったときは、中年以上のおじさまたちからピンポイントでモテて、移住しようかと一瞬迷いました。
イギリス人のモテ男の知り合いがいるのですが、少しだけ小柄な彼、オランダに一時移住したら、全然モテなくなったそうです。オランダ人、男女ともに平均身長が非常に高いんです。てことで、彼、スペインに移動しました。平均身長がイギリスよりも低いスペインでは、モテまくったそうです。見た目よりもトークで女心を掴んでいた彼でしたが、それでもサイズって重要なのですね(身長の話ですよ)。
最近のメディア、美形のバラエティーが増えたと思いません? 欧米では、ポリコレの圧もあって、顕著だなと感じますが、日本でも個性的なルックスの美人(性別に関わらず)が増えてるような気がします。
90年代のポリコレといえば、ベネトンの広告あたりが、白人・黒人・アジア人を、2:1:1の割合できっちり入れてて、すっげーがんばってる感がハンパなかった記憶があります。
2021年の今では、映画やテレビドラマで、人種や体格や年齢など、バラエティーに富んだキャスティングがどんどん主役級をはっていて、がんばってる感がだいぶ薄れてきたように思います。
美形のテンプレも増えましたけれども、きれいどころじゃない役者さんの出演率も増えた気がします。作品にリアリティーが出て、私はいいな〜と思っております。ドラマや映画を見る醍醐味に、普段はお目にかかれないような美しい人を愛でるというのも、もちろんありますが、実力派の役者さん陣による、リアルなキャスティングが私は大好きです。
オーストラリアでは、洋服のモデルさんも、小柄、太め、年齢高め、アジア系、などなど、容姿のバラエティーが増えました。昔、モデルさんが着ているビキニが可愛くて試着してみたら、「ボディーは水着についてこないんだった……」と広告とのギャップに試着室で泣きたくなったことがありますが、モデルさんのバラエティーが増えた今、「普通の人」が着たときのイメージが湧きやすくなったなと喜んでおります。
私の強引な持論ですが、「美しい」は慣れです(ドドーン!)。心理学的に、人間のほとんどは、どんな容姿であれ、自分の顔を魅力的だと思うと聞いたことがあります。毎日のように鏡を見ているからです。
ポリコレにもほどがあるっちゅうか、「これ、ムリクリすぎない?」と思うような美形のキャスティングも(失礼)、回を追うごとに、「いや、イケる!」と思う瞬間がきます。(小さい声で:蒼井優さんや田中麗奈さんがデビューされた当時、あの顔が美人だと認識できるまでに時間がかかりました)
例えば、巨乳も微乳も美乳だ、とメディアが取り上げているうちに、「そうかも」と思えてくるもんだと私は思います。逆に、美形テンプレのバラエティーが乏しいと、魅力的に映る人間の数も減るんだと思います。ってこれ、私だけじゃなくて、いろいろなところで問題視されてきた現象ですけれども。フォトショップや画像フィルターの弊害は、みなさんご存じのことでしょう。
「人を見た目で判断してはいけません」と道徳の時間で習い、実際に「本当にそうだな」とドキッとした経験もあるのですが、人間が視覚でほとんどの情報を処理する以上、見た目ってやはり影響力大きいですよねぇ。
メディアでバラエティーに富んだ容姿を見慣れていると、様々な容姿を魅力的だと思えるようになり、ひいては、いじめが減ったり、思春期の容姿に対する悩みも減ったりしないかなぁ〜と願っています。みんながそれぞれ魅力的に映れば、見た目で差別をしたりされたりすることも減りませんかねぇ。あ、万人が美人であれ、と願っているわけではなく、三枚目も魅力的ですよ。
美形テンプレのアレコレも興味深いですけど、「フェチ」や「萌え」や「全然タイプじゃない人を好きになってしまう現象」なども面白いなと思います。
前回のエッセイ、ポリコレ的には完全にアウトだったので、投稿するかどうか迷いました。でも、結局公開してしまったのは、自分が人の美醜に非常に興味があり、ホンネの部分も書いて置きたかったからです。(←大げさ)
美醜の概念って、本能や文化や時代など、いろいろと複雑に絡み合う、面白いトピックだと思うのですよねぇ。そして、タテマエとホンネと、そのギャップ、それぞれ面白さが詰まっていると思います。
追記:前回のエッセイのコメ返と被るところが多々あり、すみません。熱く語ってしまいました。
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