第23話 頭にパンツをかぶったらさ、

 朝、キッチンでコーヒーをいれていたら、バタバタと音を立てて、5歳の息子が走ってきました。


 開口一番、「ママ! 頭にパンツをかぶったらさ、」


 はい? 


 いまだかつて、「頭にパンツをかぶったらさ、」で始まる会話文を耳にしたことがあっただろうか、いやない。(反語)


息子「頭にパンツをかぶったらさ、忍者みたいに見えるんだよ。」

私「……え?」

息子「見せようか?」

私「いや、別にいいよ。」(←即答)

息子「ちょっと待ってて!」とバタバタと走って自分の部屋へ戻る息子。人の話、聞いてねぇな。数分後、頭にグレイのブリーフをかぶった息子が戻ってきました。

息子「とりゃ〜!」(←思いつく限りの忍者っぽいポーズをして参上)


 に、忍者……? パンツには、脚を出すための穴が二つあいてますよね? その穴がちょうど目のところにあって、バラクラバのようになってます。例えがマニアックで古いんですけど、その昔少年ジャンプで掲載されていた「変態仮面」みたいな絵面です。(ピンとこない方はこちらをご覧ください。https://images.app.goo.gl/FJoQ5YpDa3BMaf8s6 え、これ実写で映画になったんですか? しかもシリーズ? マジすか。)


私「に、忍者はさ、その目のとこの穴が二つじゃなくて一つじゃない?」


 私の言葉に目を見開いて納得顔の息子。


息子「ママ、ほんとだ。忍者はお顔の穴が一つだね! でも、これが僕ができるせいいっぱいだから、いいんだよ。」


 息子、ものすごく「いいこと言ったぜ」て顔してました。私もうっかり感心しそうになりましたが、そんなことで「せいいっぱい」とかやらんでよろしい。

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