後編
翌日——
『ほんとにごめんなさい! 大丈夫ですか?』
『ああ、大丈夫』
なんとかそう返信したものの、はっきりいって大丈夫ではない。昨日は気づかなかったけど、月に一個しか産まれない卵を二個集めたってことは、一個は一カ月前のやつなわけで。どうやらその古い方を俺が引き当ててしまったらしい。
さすがに腐ってたら気づいたはずだけど、腐らないまま食中毒菌だけが繁殖するケースもあるということをこうして身をもって知ることになってしまった。というわけで、自宅のベッドで絶賛死にかけ中というわけだ。
『お店で買った食べ物以外にも、賞味期限ってあったんですね……』
『そりゃそうでしょ……』
おいおい……手作り弁当は嬉しいけど、正直、こんな衛生観念で作られたら身体がもたないぞ……。下手したら死ぬぞ……。次回は丁重にお断りした方が良さそうだな……。
しかし、どう断ろうかと思案しているところに、見透かしたかのように先手を打たれてしまった。ああ、もう! これじゃ、断れないじゃん……。
『今度から、卵焼きは仲良く半分こしましょうねー』
——俺が恋に落ちた小悪魔は、今日もしっかり小悪魔だった。
女子高生、卵を産む 浮谷真之 @ukiya328
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