絶望
「また手を抜こうとして! ダメですよ」
クレスはアリアスに叱られる。
最狂がその場から消えた。
「下がってろ!」
クレスはアリアスに向かって叫ぶ。
その瞬間に最狂が剣を振った状態で現れる。
クレスが剣を受け止めると辺りには激しい爆風が吹き荒れ。
『リールダーレス』
アリアスは黒と白の混じり合う輝きに包まれた。
クロとシロは合成神級魔法でアリアスを守る。
「やっぱりな! 剣の勇者よりも俺の方が強い!」
最狂の剣の乱舞をクレスは全て受け止める。
「何をしても無駄なんだよ!」
クレスは反撃も出来ずに一方的に押されていた。
「精霊の力なんてな! 俺の前では無力なんだよ!」
最狂は全身から虹色のオーラルを垂れ流す。
『
最狂の魔力が膨れ上がる。
『力を貸してくれ』
『『『はい』』』
精霊神達はクレスに応えると色とりどりな輝く玉に姿を変え、クレスの周りを回る。
膨大な魔力と共に最狂が迫る。
『アオイ』
『はい、ユウ様』
青色の玉がクレスの身体に入る。
『
クレスの眼の色が蒼から鮮やかな青の色に変わり、青色のオーラルを纏う。
最狂の虹色の剣とクレスの黒剣が交わる。
「何をした」
最狂は目を見開く。
「説明が欲しいのか?」
最狂は剣がぶつかり合う度に覚える違和感。
激しい爆風など起きず、辺りは無音に包まれる。
「全てを吸収し回復する能力と言えばいいか?」
魔力を奪い、体力を奪い、力を奪う、そしてその全てを癒しで還元する。水の精霊神の固有スキル。
『妖精の雫』
「魔法はどうだ?」
最狂は直感で気づいたのかニヤリと笑う。
「気づいたか、直感は厄介だな」
アオイの固有スキルは相手に接触しないと発動しない。
「お前を殺す」
クレスを睨み付けると最狂は呟く。
『シャイニング・フレア』
最狂のチート能力で強化された神級魔法。
魔力を全て吐き出し最狂は膝をつく。
「お前さ、忘れたのか? 俺に魔法は効かない」
最狂はそれでもニヤニヤと笑っている。
「俺の弱点の現象しない魔法は今の俺には効かないからな?」
「なに!」
「だってそうだろ? 俺は魔力がないから現象しない魔法に抵抗力がなかった訳で精霊達が俺を守ってる状況だぞ? 俺が手を抜いてもそれを精霊達が許さない」
最狂の笑みが崩れる。
『さぁ、絶望の時間だ』
クレスは悪役の台詞と共に邪悪な笑みを最狂に見せる。
辺りは最狂が出した魔法で消滅していく。
『アカメ』
『私の番かな』
赤く輝く玉がクレスの中に入ると青色の玉が抜ける。
クレスの纏っているオーラルと眼の色が青から赤に変わる。
『ともし火』
消えそうな程の揺らめく炎が黒剣に纏わりつく。
太陽に向かって剣を振る瞬間に炎は消え。
クレスが放った魔力を帯びた衝撃波は太陽を切り裂き、時空間をも切り裂く。
剣が止まると息を吹き返すように炎はまた現れる。
辺りは静寂に包まれ。
「何をした!」
その静寂を破ったのは最狂。
「見てただろ? 剣を振ったんだよ」
「この時空間魔法は俺ですら壊すことが出来なかったんだぞ!」
クレスが剣を振った瞬間、その通った軌道上の全てが斬られ、太陽の後ろにある時空間ごとクレスは斬ったのだ。
『ともし火』を付与した物が通り過ぎた後は、全ての魔法が消滅する固有スキル。
「ま、まだだ!」
最狂はまだ諦めない。
『ミドリ』
「はい、ユウ様」
クレスのオーラルと瞳が赤から緑に変わる。
『妖精の戯れ』
クレスを中心に鮮やかな緑色の風が吹き抜ける。
現象しない設置型の魔法式も、空気中の魔力も、全て風が食らう。
「魔力が……」
最狂は絶望に満ちた声を出す。
『妖精の戯れ』風が空気中の全ての魔力を奪い、自分の魔力に還元する。
『ハナ』
「私の番~」
緑色の瞳とオーラルから黄色に変わる。
『絶望の声をもっと聴かせろよ、最強』
クレスは最狂に近づき、黒剣を喉元に置く。
「わ、悪かった」
「それで済むと本気で思ってんのか?」
最狂はガクガクと身体を震わせる。
クレスは最狂の剣を黒剣で弾く。
「ッ!」
「負けを認めろ」
「俺の負け……」
「なにやってんだ? 頭を地面に擦りあわせるんだよ」
クレスは元勇者とは思えない程の鬼畜っぷりだ。
最狂は地面に頭をつけて。
「俺の負けです」
「なんでもしますだから見過ごしてください」
「なんでもしますだから見過ごしてください!」
『死の宣告』
命をかけた戦いで勝った時のみ使える土の精霊の固有スキル。
契約を破った者には死を。
クレスはこの能力でいつも思うことがある。
『土の精霊の能力恐い』と。
『契約だ、人を殺すことをやめろ、そして変な作り話はもうやめろ!』
最狂は驚きの声をあげる。
『どうして!』
クレスはニヤリと笑う。
『お前は初めて会った時の邪神と同じ目をしてる』
クレスは黒剣を空中に放ると黒剣はキラキラと消えていった。
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