天才な妹と最強な元勇者 2
リアルタイム
マクロード達が虹の石の発動に成功し、虹の石から出た虹色の光は世界を越え、次元を越え、時間軸をも越える。
草原に飛来した赤黒い影。
私の目の前には竜王ブラッド・ドラゴンがいる。
ここは世界中で大ヒットしたゲーム『リアルタイム』の世界。
リアルな異世界を疑似体験でき、剣と魔法の世界を肌で感じる事が出来る。
プレイヤーじゃないキャラクター達も人が入ってるんじゃないかと思うほど何でも応えてくれて恋愛したりもできちゃう。
わ、私わやってないよ!
それに世界も無限にあるんじゃないかと思うほどに何処までも続いてる。
お姉ちゃんがいなくなって気分転換に友達から誘ってもらったゲーム。
今ではあのお姉ちゃんの事だから適当にどこかで遊んでるんじゃないかと思っている。
だから私もこのゲームを楽しむことにした、今では大好きだ。
私を踏み潰せる程の大きな赤黒いドラゴンの攻撃を反発の勇者の私は華麗に避ける。
重力魔法を使って相手の速度を落としながら自分の速度を上げる。
重力魔法は本来ならレベルを上げれば上げる程に範囲が大きくなり威力も上がる。でも『特定』という勇者の固有スキルで私の速度を上げて相手の速度を下げる。
二重の重力魔法。
レベルで身体能力が上がっていくけど、目に見えるステータスはない。
痛覚を再現していてモンスターに切られれば痛い。静電気ビリ! ぐらいの痛さがある。首を飛ばされてゲームオーバーなんてよくあること。
想像もしたくない……。リアルな死が見える。
雑魚キャラでもオーラルという基本の技術をマスターしていないとレベルの身体能力だけに頼っていたら負けることがある。
どんなに強くても弱点をつけば簡単に倒せるがプレイヤーも弱点をつかれたら簡単にゲームオーバーになる。
魔力量は人それぞれ違うけど、初期設定から高く設定されていて魔力測定器という水晶玉に手を置くと見ることができる。
私の魔力は普通より多くて【87654】だった、嬉しくて覚えてる。
魔力量を感じながら魔法を放つのはMPという概念を切り離して本当に異世界に来たみたいと話題になった。
魔力を強く込めれば初級魔法でも強くなるリアルな異世界。
魔力量はレベルを上げても初期設定から変わらないらしい。
プレイヤースキルが必要なゲームだからこそ努力したら強くなれるというゲームは流行ったんだと思う。
竜王ブラッド・ドラゴン、これは剣の勇者クエストの序盤で現れる敵だ。
光の勇者クエスト、反発の勇者クエスト、闇の勇者クエスト、精霊の勇者クエスト、剣の勇者クエスト。
どれもクリアされていないクエストだけど剣の勇者クエスト以外はもう終盤までの攻略情報が乗っている。
剣の勇者クエストだけが序盤の二つのクエストしかクリアされていない、クエストの流れをいうと。
『魔力無しの決意』『旅立ち』『竜王ブラッド・ドラゴン』
三つ目でラスボスが来たみたいな感じです。
ジョブというものがあって最初に選べる仕様で私は重力魔法が極められる反発の勇者を選んだ。レベルを最初からにする代わりにジョブは変更自由。
剣の勇者は初期設定から魔力がなくなり、魔法を使えなくなる代わりに『理不尽を切り裂く剣の召喚』という剣を召喚するらしい。使えないジョブというレッテルが貼られて誰も使おうとしない。
不遇ジョブは後々強くなるんだ! とプレイヤー達が挑戦したが、ことごとくジョブを変えていった。
魔法が使えないとこのゲームでは生身にも等しいのに何でこんなジョブを作ったのか疑問に思う。
不遇ジョブのクエストなのに敵がなんでこんなに強かは知らない。
竜王ブラッド・ドラゴンが口に赤黒い炎を溜めている。
『危ない!』
私は重力魔法に最大の魔力を流し込む。
だが竜王ブラッド・ドラゴンは重力などないかのように口の炎を吐き出す。
私は急いでお姫様の元に駆けつけるが……。
時すでに遅く、私はお姫様と共に赤黒い炎に焼かれて一瞬で死ぬことになった。
そして周りが明るくなり、ミリアード王国の召喚の間で復活。
「痛い~」
ビリビリする。
剣の勇者クエストはミリアードのお姫様も一緒に守らないといけないのだ。
私のレベルは【999レベル】で最高レベル。剣の勇者クエスト以外はもう終盤まで来ているのに剣の勇者クエストだけが序盤で勝てない。
竜王ブラッド・ドラゴンは一対一でも勝てるかどうかなのにお姫様まで守るとなると話は違う。
剣の勇者の物語をモチーフにしているこのクエストはフィーリオンの図書館で誰でも見れる攻略情報がある。
『竜王ブラッド・ドラゴンのブレスを剣で斬り裂き、死闘の末、竜王と仲良くなった剣の勇者は一緒に空の旅をしてまわりました』
この絵本を見てプレイヤーの誰もが思っただろう。
『出来るわけねぇ~じゃん!』と。
絵本に書かれている剣の勇者は魔法を斬れるらしいがオーラルも纏ってない状態は生身同然だ。魔法のスピードに剣速が追いつかないと剣を振るの前に魔法が当たってゲームオーバーになる。
初級魔法を最大まで遅くした魔法は切れたらしいが……不遇ジョブのレッテルは変わらなかった。
一瞬で何もかも消し去る竜王ブラッド・ドラゴンのブレスを斬れるわけない! 剣に私の魔力を全部注いでも斬れなかったブレス。剣の勇者クエストって本当になんで作ったんだろう。
今日はアップデートで十二時に新たなエリアが解放される。
学園物らしいのだ、未来の異世界をテーマにしている。
学園に入り、生徒達と恋や友情を楽しみながら最大の敵を討伐するクエスト。
ワールドクエスト『邪悪に染まりし剣の勇者を討伐しろ』が始まる。
召喚の間はワープゾーンになっていて、私はそこから次元の狭間というエリアに飛ぶ。
そこには広い次元の狭間を埋め尽くすようにプレイヤー達が立っている。
みんな待ち遠しいのかな?
もうすぐで始まる新世界に期待を持ち、私はステータスと呟く。
『ステータス』
小さな透明なプラスチックの板みたいな物が空中に現れる。他のプレイヤーには見えないようになっている。
【レベル999】
【人族『ミライ・サクラギ』】
【ジョブ『反発の勇者』】
【魔法『重力魔法』『光魔法』『闇魔法』】
ステータスを確認していると無機質なアナウンスが響く。
『それではワープを開始します。学園を選んでください』
私の正面に透明なプラスチックの板が現れて学園の名前が乗っている。
前情報で色々と詳しく調べていた私は決めていた学園を選択する。
剣の勇者を目指す学園『フィーリオン剣士学園』
選択すると突然大きな揺れが……。
『なんだこれ!』
『『うわぁぁぁぁぁああ!』』
次元の狭間の下から地面を突き抜けるように虹色に輝く柱が現れる。
プレイヤー達が虹色のオーラに包まれて消えていく。
私はログアウトボタンを押すが反応がない。
目の前は真っ暗になり、意識がなくなる。
目をさますとそこにはプレイヤー同士の対戦にも使われるようなコロシアムがあった。
クレスの寮に来ていたユウカ、リリア、ミミリア、フィリアは、クレスがいなくなった事でこの学園の有り様に失望していた。
そんな時にフィーリオン剣士学園に大きな揺れがあり、コロシアムの方から大きな音が響いてきた。
もしかしたらクレスがなにかやってるかもとコロシアムに一番に向かったユウカ達。
そこには知らない男女数十名がいた。
『君達は誰かな? 僕は今機嫌が悪いんだ、簡単に説明して貰える?』
殺気を放ちながら話すユウカ。
「な、なんだよお前、ケンカ売ってんのか!」
一人の男が立ち上がり吠える。
『僕は簡単に説明してって頼んでるんだよ? ケンカ売ってるのはどっちかな?』
「力づくで聞いてみるんだなNPC」
男は腰の剣を引き抜く。
『NPC? 機嫌が悪いんだって言ったよね? 悪いけど手加減できる気がしないよ』
ユウカは呪文を呟く。
『天空の光よ、僕に力を』
手の中から透明な剣が姿を現す。
ユウカの八つ当たりが始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます