洞窟
「ごめんなさい」
二人から説教を貰ったユウカはしょんぼりと肩を落としていた。
「反省してるならもういいよ」
「そうですね」
リリアとミミリアから許しを貰ったユウカはすぐに元気を取り戻す。
「うん!」
元気になったユウカが探検しよう! と言い出して三人は洞窟内を探検することになった。
「この道暗いね」
マグマが流れている所から外れた道を指してユウカが言う。
「そうですね」
ミミリアが同意する。
「じゃあ」
リリアが右手をユウカが指している道に向けて。
『ライト』
光属性の初級魔法を発動する。
「明るくなったね~」
ユウカが楽しげに光る玉を見つめる。
光の玉がリリアの右手からポワポワ~と三個出現してリリア達の周りを回っている。
「それじゃあ行こうか!」
先頭をユウカが歩き、二人はそれについていく。
「ユウカちゃん速いよ~」
「なにを言ってるんだいリリアちゃん! 探検家はそんな弱音を吐かないよ!」
「私、探検家目指してないよ~」
「なら言い方を変えよう! 剣の勇者みたいになれないよ?」
ユウカの言葉を聞いたリリアは。
「このぐらいへっちゃらだもん! ユウカちゃん置いてくよ!」
リリアはユウカを抜いて先頭に行く。
「リリアちゃん速いよ~」
「ユウカちゃん! そんなこと言ってたらお兄ちゃんのお嫁さんになれないよ!」
「な、なに~! 僕と張り合おうっていうのかい!」
ユウカとリリアは二人でそんな事を繰り返しながら洞窟探索を速めていく。
それから数十分後。
「はぁ、はぁ、やるねリリアちゃん」
「ユウカちゃんもね」
二人は息を整えながら地面に座っている。
「二人とも速すぎですよ」
そこに息切れすらしてないミミリアが二人を注意する。
「ミミリアちゃんずるい~」
「そうだよ、お姉ちゃんずるい~」
ミミリアは半透明な黒銀のオーラを纏っている。
「身体強化もせずにあれだけの速度で走っていた方がおかしいです。私ではついていけません」
「じゃあミミリアちゃんは剣の勇者のお嫁さん候補から外しちゃうからね~」
「なんでそうなるんですか!」
「あれ? ミミリアちゃんもやっぱりクレス君が……」
「そ、そんなことはありません。別にクレスとなんか……」
顔を朱に染めながらユウカの言葉を否定するミミリア。
「ユウカ様は冗談が過ぎますよ」
「ハハハハ、ごめん、ごめん」
「全然、謝ってないですよね」
「お姉ちゃんはお兄ちゃんが好きなんだよ~」
「リリア!」
リリアは舌を少しだして可愛らしく微笑む、その仕草を見てミミリアも毒気を抜かれる。
「でも騒ぎすぎたみたいだね」
「二人が騒いでるからですよ」
「うん、なんか囲まれてるね」
洞窟の所々にあるゴツゴツしている岩から魔力の気配がするのを三人共に気づいている。
『漆黒の闇よ、形をなし我が手の中へ』
ミミリアか魔法を詠唱すると右手の中から銀色の剣が姿を現す。
「私が相手をします」
ミミリアが二人の前に出る。
「ミミリアちゃん頑張って~」
「お姉ちゃん頑張れ~」
二人の応援を聴き、剣を構える。
「さっさと姿を現せ!」
ミミリアの叫びを聞いて敵も動き出す。
岩影から色とりどりの属性の玉がミミリア達を目掛けて発射される。
それをオーラルを纏わせた剣で全て斬り落とす。
「そちらのターンは終わったよな?」
ミミリアの目の色が翡翠から紫の色に変わる。
精霊化の特殊能力、瞬間移動を使って敵の背後に移動する。
「まず一人」
ミミリアの剣に斬られて一人が光に包まれて転移させられる。
その後も一人、また一人と、ミミリアに一方的に斬られて転移させられる。
「弱いな」
天才達が集まっているラグナロクだが化物の領域に入っているミミリアには弱い相手だ。
二十人を倒した所で戦闘は終了した。
「準備運動ぐらいにしかならなかったな!」
「ユウカ様、それは私のセリフじゃないですかね」
「ミミリアちゃん細かい事はいいんだよ!」
「細かいですかね?」
三人は倒した相手の数と今の状況を確認する。
「え~と、二十人倒したから残りは九人だね!」
「あのまま変動がなかったらですけどね」
「学園同士の合同チームみたいだったけど、僕達を先に潰そうって考えなのかな?」
二十人の敵は一塊づつで違う制服を着ていたから合同チームなのだろうとユウカは推測する。
「そうですね、やはりユウカ様がいるから学園同士で手を組み先に倒した方が優勝に近いですからね」
「ふむふむ、これは一筋縄では行かないかもね」
二人はこれからの事について考える。
するとアナウンスが。
『ラグナロク結果を発表します。ユウカ様、ミミリア様、リリア様の三名が生き残りました。フィーリオン剣士学園が優勝となります』
そこでユウカ達が光に包まれてバトルフィールドの外へ転移させられる。
ユウカ、ミミリア、リリアは一緒の事を思っていた。
『『『えっ? なんで?』』』
ミミリアが倒した出場者達が最後だったようだ。
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