第11話 強化と石食い
早く色々な事ができるようにと、ここまで能力を成長させるため意識的に使用してきたので、そろそろレベルが上がっているだろうと思いヒナノはステータスを確認する。
【鉱物使いSS】
レベル E
鑑定 D
知覚 D
移動 F
変形 E
変質 E
合成 F
分解 F
付与 F
光沢 E
「わあ、上がってる!」
色々と能力が上がっていて、レベルもEになった。
【鑑定】と【知覚】に関しては結構使用していたので特に上がっていてDである。
能力が上がるのは成長が見えるので嬉しいし、何だかわくわくする。
持っていた花崗岩を鑑定してみると前回とは違う結果が表示された。
【花崗岩】:マグマが地下深くでゆっくりと固まってできた岩石。複数の鉱物が集まった物。
「解説が少し詳しくなったみたいね!」
名前だけでなく、どういう物か説明が出るようになった。
レベルが上がっていけば更に詳しくなりそう。
神様から貰ったダイヤもヒナノは鑑定してみた。
【ダイヤモンド】:金剛石。ヒナノの魔力を若干帯びている。
改善されているとはいえ情報は少ない、鑑定レベルがDだとこんなものなのだろう。
レオがダイヤを食べて美味しいと感じている秘密は自分の魔力を帯びているという事でいいのだろうか、ヒナノは首を捻る。
魔力が美味しさの秘訣というならば、ダイヤに魔力を込めてから鑑定するとどうだろうか? ヒナノはダイヤに魔力を注入してみた。
結果は……。
【ダイヤモンド】:金剛石。ヒナノの魔力を帯びている。鉱物の力を強化できる。
(表示が変わった。鉱物の力を強化できる?)
魔力を込める事により以前のダイヤにはない、新たな力が付加されたようである。
神様からもらったダイヤは飴玉サイズのスライム魔石よりも小さくて軽い。
多角形にカットされたダイヤモンドは入ってきた光が屈折されて上面へと抜ける、ブリリアンカットと言われる物であり、輝いてとても綺麗である。
「1カラットぐらいかな」
前世の経験と記憶からヒナノはダイヤモンドの大きさを推測した。
おおよそヒナノが見積もった通りの大きさで間違いないだろう。
(スライム魔石に付けたらどうなるのかしら)
丸いスライム魔石とダイヤの平らな部分を【合成】により接合する。
二つの石が光りそれが収まると二つは隣り合ってくっ付いた。
「う~ん、見た目が微妙ね」
そのまま合成で隣り合わせてくっ付けただけなので、丸いスライム魔石にダイヤの傘を被った様な形状であり、不格好で持ち運びにくい。
只、見た目とは違って鑑定してみると凄かった。
【スライムの魔石とダイヤモンド】:収納可能、容量2倍。防御+2
「容量二倍は凄いわ! 防御力も+2の補正になったのね」
『たくさん入るようになったの?』
狩りから戻ってきたレオがヒナノに話しかけてきた。
レオは狩った獲物の魔石は一箇所に置いてまとめているらしく、後で魔石を取りに行くとのこと。
一度には持ち運べないので、レオはそうしてるのである。
他の魔物や獣の肉は食べなかったのか、今回は口元が赤くなっていない。
持ち切れない程って一体どれぐらいの数を狩ったのだろうか。
(まあ、湧いて出て来るっていっていたしいいか)
あまり放置していると、また他の獣や魔物が食べにくるかもしれない。
「魔石ってレオ君以外にも食べたりするの?」
『そうだね。【石食い】は結構いるよ』
「【石食い】?」
【石食い】という新たな単語が出てきた。
まあ、石を食べる生物ってことなのだろうとヒナノは解釈する。
ヒナノが作ったスライム魔石を持っていけば、狩りをしたら収納しておけばいいので楽になるはず。
「これからは魔石を持って行けば獲物を放置しなくて大丈夫よ」
『便利そうだね』
「普段の狩りの時はどうしていたの?」
『魔石と肉を少し食べて後は放置かな。残された物は誰かが食べるか、また土に返るからね』
弱肉強食の世界は厳しいのだろう。
レオがいなければヒナノも食べられてしまうのは間違いない。
戦闘力はからっきしなので、せめて後方支援的な役割ができればとヒナノは思う。
「レオ君はアイテムボックスみたいな収納できる物は持っていないってことよね?」
『うん、持ってないね。前に人間がそんな機能の物を持っていたのを見たことあるけれど特に興味がなかったからね』
自分が食べる分だけの獲物が狩ればいい、レオにとって必要ではなかったようである。
強欲な人間とは違うのだろう。
でも、一緒に生活をしていくなら便利な機能は使ってもらいたい、ヒナノはレオにどうやってスライムボックスを持っていってもらうか方法を考える。
レオを見るとふわっとした毛並みが綺麗で無駄のないフォルム、飼い猫ならともかく野生で生きてきたレオが体に物を取り付けた事などないだろう。
(猫や犬だとやっぱり首輪だよね?)
野生の生き物に首輪をつけるのもどうかと思うが、普通の猫と違って言葉が通じるのでヒナノはレオに確認することにした。
「レオ君、首輪って付けるの嫌かな?」
『首輪って人間が飼っている生き物に付けているやつでしょ』
「そうそう。首に付けるので狩りの時に邪魔になるかもしれないのよ」
『うーん、それは別に平気だと思うよ。それでやられるほど僕弱くないし』
あら、うちの子は戦闘力に絶対の自信を持っているようで、自信満々である。
「そっか。じゃあ首輪を作ってスライム魔石を取り付ける感じにするね」
ただ、今は森にある材料しか使えないのでどうしたものか。
人間がいる街で買えばいいのだけれど、今は城を目指しているので行く予定はない。
「近くに人間が住んでいる場所はないの?」
『僕が知っている限り近くには無いね。遠くでよければあるけれど。城よりも先になるね』
「そっか。じゃあ先に城に行くべきね」
とりあえずこの世界での通貨も持っていないし、そもそも現地の言葉が理解できるのだろうか? コミュニケーションが取れなければ商売どころではない。
そこら辺も神様のサービスに含まれていればいいのだけれど、周りに人間がいないので確認することもできない。
今は神様に指定された城を目指した方がいいだろう。
(能力で何か作れないかな?)
鉱物使いというぐらいだから何か材料があれば作れるのかもしれない。
ヒナノは地面に転がっている石を拾う。
【岩石】:普通の石。細かい鉱物が集まった物。
手に取った瞬間、意識しなくても勝手に鑑定されたようである。
鉱物使いの能力には【変形】があったので、ヒナノはこの石を変形させてみる事にした。
完成形のイメージとしては首に入る輪っかであるが、そう簡単には上手くいかない。
「ぐうう、ぐぬぬ」
若い女性が出すような声ではないが、少しずつではあるが石は変形していく。
ゆっくりと細く伸びていくが進みは遅い。
「はあはあ、ちょっと能力弱くない!?」
異世界で神様から貰える能力といえば、ありえない程凄いって言うのがお約束なはず。
チートですよチート!
でも現実は違うようであった。
前世でも平凡な自分だったのだから仕方がないのかなとヒナノは考えているが、成長できる能力なので今後に期待したいところである。
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