ドワーフ王国
第3話 暗い森とドワーフ
目が覚めると、また知らない場所にいた。
先ほどの神の部屋のように周りが明るく天国のような場所とは、程遠いものだった。
周りには、背の高い木だらけだった。その無数に並んだ木々の葉のせいで暗闇を照らす太陽の光をあまり通さずに常に薄暗い状態。
前方を見ると木がよけたような細道があった。
しかしその細道の奥には暗闇しかなかった。果てがあるのか?外に出れるの?不安となり恐怖感がそそられていく。
ふう~
と冷たい木の下風が吹き、体が反応して鳥肌が立ち、さらなる恐怖を掻き立てる。
本当に天国とは程遠いまるで地獄につながった道のようだった。
「明るい内に、ここを抜けださないと。」
僕は、恐怖で少しの間動けなかったが、ここにいる方が危険だと感じる。
僕は、恐怖を押し殺し踏み出したくない一歩を踏む。
ぼくがこの世界で初めてだした一歩だった。
この果てがあるのかわからない。道から抜け出せると信じ歩き続けるしかなかった。
☆☆☆☆☆
暗い細道を歩き続けて数時間がたった。先にはまだ続くであろう暗い道しかない。
僕は少しでも恐怖で精神的に疲労した自分の気をまぎらわせるために先ほど神と話した内容を思い返す。
そして、僕はある疑問を抱いた。
先ほど、あまり時間がなく聞きそびれてしまった、一番重要な単語を思い出した。
心優しき者とはなにか。
まさかここで、自分のとんでもない失敗に気づいた。
この世界の目的が分からない。
優しき者を導く?
それは、どんな生き物?人間か?別の種族?例えば、エルフか?どうやって導く?さまざまな疑問を抱くが答えがわからない。
そして、神が僕に授けた力とはなにか?
そう思った瞬間、
頭の中に突然思い浮かんだ。
不老の魔法=使用者はエルフと同じく永遠に等しい寿命を持ち、けっして老けることのない肉体が手に入る。だが、けっして不死ではない。刺されれば死ぬし、病気になれば死ぬ。
必要最低限の能力=この世界で生きるための必要最低限の能力、最強になることもなく、けっして最弱でもない能力。
鑑定=あらゆるものを鑑定し、知ることができる。
「なん、なんだよ!」
僕は怒りの気持ちを抑えきれず、思わず思ったことを口に出す。
不老の魔法と鑑定はともかく、必要最低限の能力ってなんだよ!?まんまじゃねーか!
自分が何に優れているのかもわからずに優しき者をどうやって導けっていうんだ!?
怒りで混乱していると、
バキッ!
っと、木の枝が折れる音がした。恐怖と肌寒い木の下風で敏感になった感覚で即座に振り向く。
そこには、男が立っていた。
自分より背丈がかなり低いものの、その低さには見合わぬ肩幅の広さに、僕の太ももより太い腕と自分より重いものを運ぶために非常に頑丈そうな脚。
その鍛えあげられた肉体に見合わぬ老けて醜い顔。
ぼくは、鑑定を使うともなくそれは何者かすぐにわかった。
「ご...ゴブリン...!」
思わず思ったこと口に出してしまった。
「誰がゴブリンじゃ、ボケ!」
自分が馬鹿にされたことにすぐに気づき突っ込みを入れた瞬間ー
ゴツッ!
と何かが、自分の後頭部を強く叩いたような音がした。すると、視界が急に白に包まれ、体の力が抜けて倒れると同時、真っ白だった視界が黒く染まっていく。
ぼくは、そのまま意識を失った。
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