紫の君

ふんわりとしたくせ毛

切れ長の瞳

紡がれる言葉は『綺麗』

ひとつひとつ拾い上げるよう

ひとつひとつ波紋が広がる

そんな人


料理が好きだとか

洗濯が好きだとか

色々となにかしたがる性分で

ちょっと嫌なことだと

口をへの字にしてやる

分かりやすい紫の君


頭で理解している順序と

行動している時

どうも力任せにしたがるところ

笑うと、むっとした顔

拗ねると部屋にこもるけど

少ししたら出てくるし


瞳を泳がしながら「すまない」と

静々

近寄って困り顔で笑う

笑い返すと、ほんのりと空気が変わった


「じゃあ、どこか出かけるかい?」

と言っても庭を散歩するだけ

あとは商店街に行ったり

一緒に歩くたびに嬉しくなる

こんな人が隣にいるという

当たり前になった事実に喜びを

はにかむ紫の君を見ていたい

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