幼馴染との成就。








「それにしても、凄い部屋だな」


 片付けを終えて、俺たちは別荘へと移動。

 風呂に入って歓談した後、客室に通された。一人一部屋が与えられたのだが、それぞれがすでに小さなコテージみたいな、そんな場所。

 ベッドに腰掛けながら、俺はベランダの向こうに見える星空を眺めた。

 そうしていると――。



「ん? 誰ですか」

「和真? いま、いい?」

「このはか、いいよ」



 このはが、ドアをノックして顔を覗かせる。

 こちらが返事をすると少し顔を赤くしながら、パジャマ姿の幼馴染が入ってきた。ピンク色をした、可愛らしいクマのプリントがされた服。

 愛らしいその恰好に、俺は思わず息をついた。


「隣、いいかな」

「いいよ」


 どこかぎこちなく、少女は俺の隣に腰掛ける。

 そしてチラチラとこっちを見ながら、こう切り出すのだった。



「あの、和真。さっきの、って本気――なんだよね?」



 それは、バーベキューの時の話。

 俺は彼女に想いを伝えた。そのことについてだった。



「あぁ、もちろん。俺が今まで、好きになったのはこのはだけだ」

「……うん。ありがとう、嬉しい」



 だから、迷うことなくそう答える。

 すると彼女は、耳まで真っ赤になってうつむくのだった。しかし、すぐに深呼吸をしてから、俺の顔をまっすぐに見つめる。



「あのね、わたし――怖かったの」



 そして、そう語り始めた。



「もしかしたら、自分のこの気持ちが一方通行で。告白したら、今の関係が壊れちゃうんじゃないか、って。どうしてだろうね――龍馬の言ったこと、真に受けちゃってた」

「このは……」

「でも、もう――いいんだよね?」



 彼女は、涙声になりながら。



「もう、この気持ちを我慢しなくても――いいんだよね?」



 そう、俺に訴えかけた。

 だからこちらは、彼女の頭を撫でながら――。




「もう、大丈夫。待たせて、ごめんな?」

「かずま……!」




 その直後に、このはが胸に飛び込んできた。

 そのまま押し倒されて、二人でベッドに寝転がる形に。

 俺の腕に抱かれて、胸に頬を押し当てた少女は、少し恥ずかしそうに言った。




「わたし、返事をするね?」




 そして、上目遣いにこちらを見て。

 幼馴染は――。




「橋本和真くん、わたしは――貴方のことが、大好きです……!」




 そう、声を震わせた。

 俺は何も言わずに、彼女のことを抱きしめた。

 このはも、抵抗することなく俺に身を預けてくる。



「あぁ、二人で。これから、いろんなことを乗り越えような?」

「…………うん!」




 その日を境に、俺とこのはの関係は変わった。

 夏の海での出来事。幼馴染は、俺にとってかけがえのない【彼女】になった。



 

――――

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