幼馴染とゲームをした。
「ねぇ、和真?」
「どうしたんだ、このは」
「その……。えへへ……」
「ん……?」
その日、帰宅後のこと。
アリスは何かのレッスンがあるとかで、先に帰った。
残されたのは俺と、幼馴染のこのはだけ。なのでいつものように課題をしていると、彼女から声をかけられた。振り返ると、そこにはモジモジしたこのはの姿。
ベッドの上でぺたんと座り、頬を赤らめていた。
「えっと、お願いがあるの。その――」
「待ってくれ。当ててみる」
願いがある、とこのは。
俺はなんとなくそれをゲームにしようと考えた。
「三つ質問する。それで、俺はこのはが何をしてほしいのか当てる」
「うん!」
提案してみると、このはも面白そうと思ったらしい。
素直にうなずいてみせた。
というわけで、ゲームスタート。
「まず一つ目、それは俺にしかできないことか?」
「和真にしか、できない。させないよ」
「ふむ、させない、か……」
俺は少し考えてから、次の質問を口にした。
「二つ目、それは今までしたことがあるか?」
「んー、はい、かな。子供のころはよくしていたかも」
「子供のころ、小さい頃か……」
俺は記憶を手繰り寄せて、最後にこう訊いた。
「最後、それは肉体的接触があるか?」
「うん!」
「なるほど……」
俺はそれらのことから、推理を開始する。
俺にしかさせないことで、小さいころによくしていたこと。そして、それは肉体的な接触が伴ってくる。そうなると、答えは俺の中にもあるはず――。
「つまり、子供のころはしていたけど、いまでは――」
お互いに恥ずかしくてできないこと、という風に考えるのが筋。
それは、このはの表情からも明白だった。そして肉体的接触というのは、握手や頭を撫でることではない。それならもう、比較的すんなりこなすからだ。
だとすれば、子供のころにやっていたことは――。
「よし、このは。背中を向けてくれ」
俺は一つの答えを弾き出して、そう告げた。
「…………うん、お願い」
それに、幼馴染は素直に答えた。
俺は彼女のもとへと向かい、そして――。
「ん、あったかい」
「このは。良い匂いがする」
「えへへ、恥ずかしいよ……」
彼女を、後ろから優しく抱きしめた。
これは小さいころに、よくやっていたこと。
冬場なんかは、よくこうやってお互いの身体を温めた。
「それで、正解だったか?」
俺が訊ねると、彼女はこちらを振り返って笑う。
「うん! さっすが、和真!」
蕩けた彼女の表情は、この上なく愛おしいものだった。
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