交差点で僕とぶつかってパンチラした美少女が教室で「パンツ覗き魔!」って叫んだら、なんやかんやあってその子と毎朝一緒に登校することになったラブコメ
第13話 ラブコメ作品の学園ってなぜか財力とか学力が不釣り合いな生徒が集まっているでしょ
第13話 ラブコメ作品の学園ってなぜか財力とか学力が不釣り合いな生徒が集まっているでしょ
何か、急に
「玉の
「あ、聞こえているんで、言い直さなくていいです」
反応が薄かったことが気に食わなかったのだろうか。リアクション芸人じゃないんだから、僕だって、そんないつもいつもいい反応できないってば。
「稀久保学園の生徒には、キャストとゲストの2種類がいるのよ」
「なんですか、そのねずみの王国みたいな呼び方は?」
「赤紙が来るのよ」
「赤紙?」
もう少し順を追って話してもらえませんかね。
「稀久保学園への招集状。金持ちとか政治家とか芸能人とかの子供達に送られてくるのよ。この招集を拒否することはできないの」
「何でわざわざ?」
「さぁ、その方がおもしろいからじゃない? ラブコメ作品の学園ってなぜか財力とか学力が不釣り合いな生徒が集まっているでしょ」
まさか、それもこの学園が起源だと言い出すのだろうか。もう今更驚かないけど。
「拒否できないっていうのは?」
「学園の意思にそぐわないことをするとラブコメ以外の悪影響が出るの。世の大人たちは、そちらの方を
「ラブコメ以外の悪影響?」
「十数年前に、一度、稀久保学園を廃校しようという話が出たのよ。当然よね。こんな学園。実際、ぶっ
だいぶん
「でも、できなかった。ちょうど廃校の決断が出る直前だったわ。あなたも歴史で習ったんじゃないの? 十数年前に起きた世界大恐慌のこと」
「……え? あれって、学園を廃校にしようとしたから起きたの!?」
「校長がハンコを押す前でよかったわ。もしも、押していたら、人類は滅亡したのではないかとすら言われているの」
どうしよう。危険度のインフレが少年ジャンプレベルで、ついていけない。
「それ以降、世の
「ってことは、先輩が、転校できないっていうのは……」
「そう。私はキャスト。どれだけ理不尽な呪いであっても、逃げ出すことはできないの」
そういうことか。
何て、
何か、嫌だな。
僕が、心の中にもやもやした感情を
強い人だな。
感心したところで、ヴィオラ先輩は続きを話す。
「もうわかったでしょ。生徒の中には、私達みたいなキャストを堕として玉の輿にのろうとしている奴らがいるのよ。ラブコメの呪いによって堕として、既成事実をつくっちゃおうていう悪い奴らがね」
「そんなの許されるんですか?」
「大人たちは、許容できるリスクと考えている。それだけよ」
世界に影響が出るよりはマシということか。やっぱり、僕はまだ納得できないな。
「ちなみに、そういうキャスト以外の生徒をゲストというのよ。別にゲストの全員が悪者ということではないわ。私の見解では、この子達は、何も知らずに入ってきたバカか、玉の輿狙いのクズのどちらかね」
「大雑把すぎませんか?」
「で、あなたは前者のバカということでいいのよね?」
「……くっ!」
くそっ! 否定したいけど、事実だから否定できない!
「うぅ! 先輩のこと、少しかわいそうだと思っていたのに、もう同情してあげませんからね!」
「あなたに同情なんてされたくないわ。あなたは私のパートナー。お互いの利益のために動くドライな関係でいましょう」
そんな無感情な言葉とは裏腹に、ヴィオラ先輩は、その唇をすっと横に引き上げ、くすりと笑みを見せた。
「さぁ、これで登校のレッスンは終わり。明日からは、あなたも気を付けて、私を守るのよ」
いつの間にか、僕達は校舎の前まで
「えぇ、わかりましたよ。先輩は僕が守ります。だってパートナーですからね」
「その意気よ。あと校舎内でも気を付けるのよ。基本的に頭上注意。いつ女の子が降ってくるかわからないんだから」
何て
「わかりましたよ」
と告げて、僕はヴィオラ先輩と別れた。今いるのは二年生の校舎で、一年生の校舎はもっと奥にある。
一応、ヴィオラ先輩の忠告に従って木の下を避ける。しかし、僕は、彼女の言うキャストではないので、狙われることはないんじゃないだろうか。
そう思うと、少し気が楽になるけど、既にラブコメに巻き込まれていることを考えると警戒した方がいい。
それにしても、今さらだけど『猫オチ』って何? 猫が高いところに登って降りられなくなるなんて、そんなシチュエーション、
僕が、そんな
え?
猫?
リアル猫?
ぬいぐるみじゃなくて?
そんな意味不明なことをまず初めに考えてしまうくらいに、この学園に毒されてきている僕だったが、確かに聞こえた。
だからといって、別にどうってことはない。猫くらいどこにでもいる。それに別段、猫好きというわけでもない。
ただ、なんとなく上の方から鳴き声が聞こえてくるような。
そう思って、なんとなしに、視線を上の方に向けたところ、ハッと目が合う。
猫。
猫と女子。
やけにアーティスティックな校舎の二階くらいの高さの壁にあるよくわからない突起物。そこに、猫を抱えた女子がわなわなと震えて座り込んでいる。
「あの、助けてくれませんか?」
……これも、演技ですか?
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