おまけ

かつて善い犬だったわんこは、復讐の道を突き進むっっっ!



 ぼくは、もっふ!

 とってもかしこいわんこなんだ。


 だから、ぼくは飼い主のみっちゃんのために復讐の道を突き進まないと。


 みっちゃんを悲しませたやつの喉笛を、くいちぎってやる。

 虫も殺せないぼくは卒業するんだ。ぼくは非情になるっっっ!


 まってろ、こーりゃくたいしょー。


 わんわんっ。


 あっ、誰かにぶつかっちゃった。


 あれ?

 この人、真黒な羽が生えてる。

 なんでだろう。


 見た目はみっちゃんみたいな人間なのに、なんかぜんぜん違う雰囲気がする。


 首をかしげていたら、その羽がはえた人間さんは、もっていた小魚の干物をすっと取り出して、こっちに放り投げた。


 えっ?

 ぼくにくれるの?


 わーい、ありがとー。


 むしゃむしゃむしゃ。


 よく分からないけど、たぶんいい人だよねっ。


 見た目がちょっと変でも、優しい人はいっぱいいるんだ。


 みっちゃんも、ふつうの人とはちがって特別な力をもってる。


 そのせいで見た目が違うけどっ、僕はみっちゃんが大好きだもん。


 食べたらなんか元気が出てきた。


 よーし、復讐がんばるぞー。


「もふちゃんどこ行ったのー? お夕飯の時間よ」


 みっちゃんの声だ。


 家出した僕を探しに来てくれたみたい。


 みっちゃんはやっぱり優しいな。


 でもあれ?


 えっ?


 ご飯の時間だったの?


 ごめんなさい、知らない人からお菓子もらっちゃった。


 せっかくみっちゃんが、ぼくのためにご飯作ってくれたのに。


 追いついてきたみっちゃんは僕の体をなでなで。


 みっちゃんの手つきはやさしいから、大好き!


 でもだんざいのせいで、家事をしなくちゃいけなくなったから、すごく荒れてるんだ。

 皮膚がきれてたり、かさかさになってたりしてる。


 うん、やっぱりもうちょっと家出しなくちゃ。


 ぼくは、ぽめらにあんって言うちっちゃな生き物だけど、本気を出せば復讐の一つや二つくらいできるんだからねっ。


 こうりゃくたいしょー。なんてすぐにざまーしてやるんだからっ!


「あっ、まってもふちゃん」


 大丈夫だよみっちゃん。必ず戻ってくるからね!


 仕留めた獲物の頭はちゃんと持ってくるから、その時は僕の体またなでなでしてねっ!







私「強烈な怨念を感じると思ったら、犬?」

わんこ「がうがうっ。えーい。とつげきー。くらえずつき攻撃!(ぽふっ)くらえかみつき攻撃!(カジカジ)くらえ、えっととおぼえ攻撃!(わおーん)」

攻略対象「何だこの犬、とりあえず、踏みつぶしとくか」

わんこ「きゃいんっ(せなかの傷は犬のはじなんだぞっ! つまさきでぐりぐりするなっ)」

私「犬の復讐劇なんてどうでもいいわね」

わんこ「きゃいんっ。くうーん。きゃんきゃん(いたいよ、助けてみっちゃん)」

私「どうでもいいわ」

わんこ「くうーん(ごめんなさいみっちゃん。復讐できなかったよ。みっちゃんににもう一度会いたいよ)」

私「どうでも………………………」




攻略対象「うわぁぁぁ、何だこの悪魔。ぎゃああああっ!!」




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かつて善人だった悪役令嬢は、復讐の道を突き進む 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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