番外 かつて善人だった主人公の話
第1話 新たな復讐者
蘇生に失敗した私は、世界中を飛び回って憎き者達の魂を探しまわった。
なかなか見つからなかったが、だからこそやりがいはあった。
やがて手に入れる復讐の機会の事を思えば、これくらいの苦労はなんて事ない。
むしろ最高の復讐劇を彩る、良いスパイスとなってくれるだろう。
そんな風に、死んでどこかにいったはずの魂を探していると、また別の乙女ゲームの登場人物を見つけた。
立て続けに縁があるものだ。
私を助けてくれる人間と出会う縁はなかったのに、なんとも皮肉だったが。
次に見つけた登場人物も、乙女ゲームの人間だ。
世界観を共有しているので、出会えたというわけだ。
たしか私が関係していたゲームの内容から、数年後の物語だったと思う。
2だか、3だか、4だか知らないけれど、人間いるところにはいるようだ。
ただし悪役令嬢ではなく、今度はヒロインが悲劇のどん底に突き落とされていた。
たぶん、バッドエンドルートに入ったのだろう。
目の前で、小柄な少女が嘆いている。
「私なんかをかばって死ぬなんて。馬鹿よ」
彼女が胸に抱いているのは攻略対象のうちの一人。騎士の少年だ。
「待っていて、必ずあなたの無念を晴らすから。絶対に復讐してみせるから」
良い獲物を見つけてしまった。
私は悪魔をつれて、彼女のもとに舞い降りた。
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