第2話 つまらない復讐



 復讐は終わった。

 もう憎い相手は、この世に存在しない。


 だからとりあえず私は、当面の間、自分が満足できるまで復讐を続ける事にしたのだったが。


「何で、こんな目に合わなければいけないんだっ!」

「何も悪い事やってないだろっ!」

「誰か助けてくれっ! 金ならいくらでも出す!」

「何でもするから殺さないでくれっ!」


 切り刻んでも、焼き焦がしても、押しつぶしても、貶めても。

 まったく心が湧きたたない。


 ちり芥を虐めても、満足できなかった。


 もはやこれは復讐ではない、ただの虐めだった。


 めぼしい人間を見つけては、不幸のどん底に突き落としているが、全員すぐにどうでも良くなった。


 視界に映るのはただ小汚く泣き喚く、ただのゴミだ。


 名前を憶えていないような石ころの断末魔など、聞いていても不愉快になるだけ。


 苦労して貶めたとしても、達成感など微塵もわかなかった。


 だから私は、すぐに飽きた。


 何か他に、暇つぶしできるものはないだろうか。


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