第5話 解き放たれた悪役令嬢



 私が復讐する対象は、血を分けた姉達と両親。私を捨てた王子と、王子を奪った女だ。


 だから、順番にこなしていく事にした。


 私はまず、自分をくくりつけていた縄をといて、姉達の元へ向かった。


 悪魔と契約した事で、私も悪魔になったのだろう。


 漆黒の翼を背に宿した私は、自由に空を飛ぶことができた。


 そうすると、自分の生きていた世界がいかに窮屈で狭かったものか分かった。


 空からみた世界は広かった。

 どこまでも続いている。


 きっと、一人の人間には雄大だったはず。


 けれど、もう賽はなげられた。


 悪役が人間のまま生きるお話は終わった。

 悪役は本物の悪役になって、この物語の幕を降ろさなければならない。


 どうせ、後戻りしたって、悲惨な末路が待っているだけだ。


 だから私は、決めた事をこなすだけ。


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