第4話 復讐を決意



 そして行きつくところまで行きついた悪役令嬢は、大勢の前で悪辣な行為を暴かれて断罪された。


 彼は私の事をどんな風に思っただろう。


 想像しなくても分かった。


 汚物を見るような瞳を見れば。


 その後私は、嵐の夜に、屋外に立てられた柱に縛り付けられて放置された。


 雷に打たれて感電死するか、飢えてのたれ死ぬのか、病気になって死ぬか、カラスにつつかれて生きたまま食べられて死ぬのか。


 私の前には、悲惨な末路しか残っていなかった。


 たった一つの大切な者さえ失ってしまった私には、もう守るものなどない。


 だから、私はもう止まらないだろう。


 前世の記憶を思い出さなければ、ここで諦めていたかもしれない。


 でも、私にはその記憶がよみがえった。


 だから、客観的な目で考えて分かるのだ。


――あのこがこんな風になったのは、あのこだけのせいじゃない。


 そんな私の元に、悪魔がやってきてささやいた。もしかしたら、見込みがあると思われたのかもしれない。原作ではこんな話はなかった。


(悪役は悪役らしく、何もできずに退場していっただけだった)


 悪魔というものは、この世界では、たびたびささやかれている生き物。おとぎ話の存在だ。


 いるかもしれないと思いつつも、確実にいるとはいいきれない。

 そんな曖昧な存在。


 悪魔は心悪しきものの前に現れて、超常の力を授けていくという。


 悪魔と契約を交わした後は、その力を好きに振るう事ができるようになる。


 その代わり、最後には悲惨な末路が待っていると言われていた。


 しかし、私にとってはどのみち同じ事だった。


 ただ待っているだけでもそうなのだから、死ぬ前に復讐しようと思った。


 私は、目の前に現れた悪魔と契約を結んだ。


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