第9話 王子様の登場



 太陽が七度昇った頃、王子様がこの村に訪れた。


 どうしてかは分からないけれど、王子様は私の事を気に入ったようだ。


 私はこの村から出た事が無い、お告げができるだけの、ただの娘だというのに。


 それからも王子様は何度もこの村に訪れた。


 庶民の暮らしぶりをしるため、各地の情勢を肌で感じるため、と言っているけれど、本当の狙いは分かりやすかった。


 そして、王子様がこの村に五度訪れた時、それは起こった。


 指輪をもった王子様が、私に求婚したのだ。


 私は戸惑ったままだった。


 王子様は私に対して熱い想いを述べたけれど、私にはそのような気持ちはなかった。


 ただ、大変な事になってしまったと、そう思うだけだからだ。


 けれど、王子様の求婚を断るなど考えられない事だ。


 だから、私は王子様のその申し出を受ける事にした。


 お告げは、王子様と共に歩むようと言っていた。


 私の人生は、この村の人たちに奉仕する事がすべてだった。


 そして、お告げと共に生きる事がすべてだった。


 不安でいっぱいだった私は、王宮に行く時は、幻獣と一緒だという事を条件にした。


 不安な気持ちをもふちゃんに吐露したら、もふちゃんは励ますように、私によりそってくれた。


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