06.はじめての夜* ※
【ご注意】
本話の後半、◇マーク以降に、【性描写】があります。苦手な方は、ご注意ください。
何か……虫の知らせ、みたいな何か。
遠くでノックの音が
「──ふぁい? 何ですか……」
「キョウ君、少しいいかな?」
「マキナさん? ダイジョブです──」
まだ、ぼやける感覚で携帯端末の時刻を確認する。二十一時でそんなには
「──何ですか?」
声の方に目を向けると扉を少し開けて
リモコンで照明を
おずおずと体を
「──明日の買い物の話、ですか?」
「ああ、そう。そうだね……」
昼間の彼女とは
なんとなく、その時が来たのだろうと
いつでも
かと言って、家族への
「ボクもちょっと
「部屋? なんだろう?」
ソファーじゃなく、ためらいながらこちらへ歩を進めてくる。
「ここのカーテンはどうするんでしょう? お風呂のうちに
「ああ、ドアのとなりにコントロールパネルがあってエアコンも
なるほど……と、エアコンやカーテンは集中して操作できるんだ。
「それでクローゼットなんですが……」
「クローゼット? ああ、あれね。あそこの鏡を押さえると開くんだよ」
「それは分かったんですが、あそこまで
「えっ? さあ、姿見代わりに鏡
遠い
あれ?
「姿見代わりで便利ですけど、やり過ぎな気がします。それに……」
「それに?……」
「あの鏡、マジックミラーですよね?」
少し
「ほ、ほぉう……そ、そうだった、かな?」
いきなり、
「マジックミラーにした利点、ってないですよね? 何でマジックミラーになんかにしたんでしょう?」
「さ、さあ。それは
「そうなんですね……」
設計とか、
◇
「それだけ? 知りたいことは」
「そうですね……。今のところはそれだけでしょうか」
「また分からなかったら訊いてくれ。それで、明日は服を買いに行こうと思うけど希望とかある?」
二人の
「いえ、特には。本家? を訪問するのに
マキナさんの体温を感じて身体を
「そうだね……。買い物の帰りに家に寄ろうか」
「ありがとうございます。まだ、足りないものがあるって取りに行きたいので」
「うん……」
ボクを逃がさないようにマキナさんの
「……まだ、使えるのに持って来ないと
「君の好きにすればいい」
逃げられないボクにマキナさんの顔が近づく。
「はい。また、運転、お願い……」
ボクの
「どこでも連れて行く。だから心配しないで君は
息づかいを感じる──いや、いっそう強くなった吐息に
「は……はい……」
どのみち、もう止まれないだろう……それなら。ボクは、マキナさんのローブのヒモを
身体を
「運転……よろしく……お願い……します……」
その返事は、
携帯端末を
ゆっくり眠ってしまった。
生まれたままの
ベッド回りに散らかった肌着やスエットをつかんで部屋に備わったトイレに駆けこむ。
用をすませベッドに戻るとマキナさんを起こす。
「マキナさん、朝ですよ」
「ん……ん……」
声をかけても生返事で起きる気配がない。起きてもらわないと、片付けも
起きてくるまでにシャワーを
お手伝いの赤井さんは、もう来て朝食の準備を始めているだろうし、もうできている可能性もある。急がないと。
行動が決まれば早い。替えの肌着や普段着を掴むと一階に下りた。
お風呂まで行くと、ダイニングの赤井さんの気配が分かった。急いで
着替えを
二階に戻って部屋に入ると
再びマキナさんを
「早く起きてシャワーを浴びてください。赤井さんはもう来ていますよ」
「ううう……分かった」
この反応なら起きてくれるかな?
身体を起こしてベッド
そうしているうち、マキナさんは、寝ぼけ
「マキナさん、何か着てください」
マキナさんはもうに
面倒くさそうに
「マキナさん、替えの下着はどこです?」
「部屋のクローゼット」
それは分かるんだけど……。もう、当てにできそうにないので、
「ほぉ~」
簡素と言うか
ドア近くの鏡の扉を開けて中に入り、
風呂場で追い着くとちょうど浴室に入りかけているマキナさんへ下着の替えを置いておくと告げた。
次は自室のベッドの片付けか~。
肩を落として部屋に向かおうとしているところで、赤井さんが入口に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます