「あっ。みてみて。虹。虹だよ？」

「そうだね」

「すごい。綺麗」

「うん。綺麗だ」

「ごめんね。別れるなんて言って。忘れて。やっぱり、あなたといたい。わたし。あなたが好き」

「僕も好きだよ。でも、ごめんね」

「え」

「仕事が入っちゃった。もう、ここにはいられない」

「仕事？」

「うん。学生は仮の姿で、本当は、国と街の間に挟まって仕事をしてるんだ」

「なにそれ。新しい設定？」

「ううん。本当の話。明日から学校には来ないから。長期で内偵が入ったんだ」

「え。待って。ねえ」

「ごめんね。君の青春に貢献できなくて。じゃあね」

　パトカーが来て。

「おい。駅前まで送るぞ？」

「ありがとう三佐」

「待って。三佐って誰。ねえ。待ってよ」

　彼が、いなくなった。

　恋が、終わる。

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