第47話 幕間~脱、駆け出し冒険者(LVだけ)~

 はい、それではもう何度目かになる成長タイムです。

 前回の冒険は危険も少ない安全な内容だったから、経験点があまり入らないのでは、とも思っていたが、そんなことはない。

 シナリオ的には大成功と判定されたらしく、ボーナス付きの経験点がしっかりと入っていた。


 ひょっとしてロンドの排除は本来想定したシナリオとは違って、単に儀式を成功させるだけでよかったのかな?

 シナリオ難度としても、戦うことはなかったが巨鬼族の成人はLV4以上の強敵だし、ダークエルフに森で狙われるとか本来ならデスシナリオでもおかしくない。

 結構簡単に終わった印象だけど、ひょっとしたら結構紙一重の内容だったのかもしれないな。


 まあ、前回の総括はこれぐらいにして、早速成長報告に入ろう。

 今回ついに、僕も駆け出し冒険者を脱することとなりました。


 【ジョブ】

 ファイター:LV3→4(UP) シャーマン:LV3

 スカウト:LV1 セージ:LV1


 【スキル】

 剣戦闘:LV3→4(UP) 武器防御:LV2→3(UP)

 回避:LV2 強撃:LV1→2(UP)

 精霊感応/光:LV2 精霊感応/風:LV2

 危険感知:LV1 調理:LV2

 並列思考:LV1(NEW)


 祝、ファイターLV4!

 LV3までが一般的に駆け出しと呼ばれる冒険者の目安だから、これで僕も一人前のファイターを名乗って恥ずかしくないLVに到達したわけだ。

 ちなみに、LVのイメージは……


 1~3……駆け出し

 4~5……中堅、そこそこ腕利き

 6~7……一流、英雄候補生

 8~9……国家レベルの英雄

 10~11……世界レベル、あるいは歴史に残る英雄

 12~15……星の枠を飛び越えた超人

 16~  ……多元宇宙を股にかける人の形をした人でないもの、神話生物


 以上、ルールブック参照。

 後半のそれは実際にはマスタリング困難だろうから、洒落程度のものなのだろう。

 ともかく、よくここまで成長してくれたものだな、と自分のことながら少し感慨深くなってみたり。


 前回残しておいた経験点と今回がっつり入った経験点とを合わせて、スキルの方もファイター系を伸ばした。

 特筆すべきは新しく取得した並列思考のスキルだろう。

 このスキルは、複数の戦闘行動を同時に行うことができる、というもの。

 要は、剣で攻撃しながら魔法を使うことができるという魔法戦士御用達のスキルなのだが、当然これには制限がある。

 まず同時使用できる戦闘行動は並列思考のスキルLVまでのものに限られる。

 今の僕だと、魔法ならLV1まで、攻撃なら通常攻撃しか選択できない。

 そしてもう一つ、『使用する技能LV-2』以上のLVの戦闘行動は並列思考の判定に失敗すると使用できない。

 つまり、僕が通常攻撃とLV1の回復魔法を同時に使用する場合。

 通常攻撃はLV1相当の行動なので、ファイターLV4の僕は判定なしで使用可能。

 一方回復魔法は、僕がシャーマンLV3なので並列思考の判定に失敗すると精神力を消費した上で発動できない、となるわけだ。

 僕のLVだと、使いこなすには少し早いのだが、経験点が余ったので思わず取得してしまった。


 僕の成長はこんな感じだ。

 LV4以上への成長は必要経験点が多いので、経験点は全て使い果たしてしまった。

 多分、次の成長ではジョブLVの成長は難しいだろうな。


 まあ、僕以上に今後の成長が難しいのがポンなわけだが。

 続いてポンの成長を見ていただこう。


 【基礎能力】

 筋力:5  耐久:6→8(UP) 器用:12

 敏捷:12 知力:6  精神:6


 【ジョブ】

 スカウト:LV3→4(UP) ポーター:LV1


 【スキル】

 追跡:LV3 聞き耳:LV2→3(UP)

 危険感知:LV2→3(UP) 罠感知:LV2

 忍び足:LV1 投擲:LV2

 回避:LV1→2(UP) 頑健:LV1(NEW)


 まあ、ツッコミどころは後回しにして、まずは順当にスカウトをLV4に伸ばした。

 これでポンも一人前のスカウトである。

 併せて、僕らのパーティの生命線であるポンの索敵能力を順当に伸ばした。

 ここまでは誰も異論のない成長だろう。


 で、今後の成長を考えるのなら、スカウト技能を成長させるために必要な器用、敏捷、知力を伸ばすべきだったのだが……少し方針を転換した。

 流石にこのLVに達すると、戦いを避け続けることは難しい。

 どこぞのペラペラシーフパーティは上手く最後まで走り切ったが、僕らにそんな立ち回りは困難だろう。

 ポンも危険に晒されることが増えると考えれば、もう少し生存能力を高めてもらわないと不安でやっていけない。

 よって、経験点をつぎ込んで耐久を伸ばし、更に回避スキル、そして新たに頑健スキルを取得した。

 頑健スキルは、読んで字のごとく毒や病などの肉体的な抵抗判定に補正がかかるスキルなのだが、これ実は生死判定にも有効なのだ。


 将来のスカウトとしての成長よりも、まずは目先の生存能力。

 今回のポンの成長はそれを最優先したものとなった。


 それから今回ロシュさんから報酬にはそれなりに色を付けてもらった。

 ……のだが、正直今はあまり買いたいものがない。

 前回装備は一新したばかりだし、これより上の装備となると全く手が届かない。


 実は荷馬でも買ってみようかな、とは思ったのだ。

 乗用馬だとポンの足が短いから乗れないけど、荷馬ならありじゃないかな、と。

 だがそれはホアンさんに却下された。

 維持費とか世話とか色々理由はあったのだが、決定的なのはこの一言。


「君、ポン君だけじゃなく馬まで庇いだしたら冒険なんて出れないでしょ」


 ポンと馬を一緒にするな、と反論しかけたのだが……つぶらなラッセン(牝馬2歳)の瞳を見て自信がなくなった。


 結果、いただいた報酬はそのまま手元に貯蓄している。

 僕らの冒険者生活も大分軌道に乗ってきたわけだし、そろそろお世話になった方々にお礼でも考えようかな……

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