ミスト・キャンディ・ヘッド

ミスト・キャンディ・ヘッドの死体が発見されたのは霧が深い夜のことだった。

彼の本名は未だ不明。

監察医がその死体の状態からミスト・キャンディ・ヘッドという仮名を彼に与えた。

キャンディ・ヘッド。

彼の頭の中には脳と呼ぶものが存在せず、その代わりにと子供向けの飴が数百という数"詰め込まれて"いた。

丁寧に包み紙をひとつひとつはずしてだ。

そして僕はしがない菓子売りでその嫌疑をかけられちゃっている。というわけだ。

くそう、僕は街で夢を売り歩いていただけなのに!

「で、やったんだろ?どうやって飴を詰め込んだ?あの男の名は?」

僕は捲し立てるように犯人呼ばわりする声にうんざりしていた。

「だから、やってないんですってば!」

「うーーーむ、怪しい」

昼頃に捕まってからずっとこれの繰り返しである。

この部屋には窓がないから、どれくらいの時間が経ったかがわからなかった。

僕に冤罪でもかけるつもりなのだろうか。

薄っぺらく引き延ばされて永遠にも感じる時間が僕の気持ちを、そわそわさせた。

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