第30話 キビリス村防衛戦 ~オーク200体相手に無双する~ その5

「うおおおおおおおおお!」



 と、教会の屋根の上から俺の戦闘を見ていた村民たちが歓声をあげたのだった。



「すげえええ!」


「何だあの冒険者!?」


「Bランクが応援に来てるなんて聞いてねえぞ!」


「いや、普通のBランクでもあそこまではできないだろ!?」


「おいおい、Bランク上位の人外がオーク討伐の依頼を受けるもんかよ」


「何でも良い! とにかく、俺たちゃ助かった! さっきの動き見たろ! 余裕じゃねえか!」


 おいおい、好き勝手言ってくれてるな。


 こっちはかなりギリギリだったんだがな。


 何しろ、数が数だし……。


 ともかく、100以上……いや、140程度のオークは俺が斬り倒した。


 で、このままでは全滅必至と思ったのか、連中は森の中から様子を伺っている状況だ。


 5秒。


 10秒。


 ……15秒。


 こちらも息を整えながら様子を伺うが、連中はやはり動かない。


 が、その時、森の中から「ウボオオオオオオっ!」と、オークの重低音の鳴き声が響いてきた。


 それを聞いた瞬間、連中の目が赤色から紫色へと変わった。


 ――これは良くない予感がするな。


 で、予想通りに、森の中から次から次へと飛び出してきたんだが――


「……何なんだコイツ等?」


 飛び出してきたオークの3割程度は、仲間の死体に群がり……死肉を貪り始めた。


 バリ、ボリっ!


 ズルっ、グチャっ、ネチャっ。


「共食い……してやがる……」


 同族の肉を噛み砕き、中身をすすりだし……まあ、見るもおぞましい光景だ。


 オークに共食いの習性があることは知っている。


 でも、今は戦闘中だぞ?


 いや、そもそもからして……何故にこいつらは食糧庫を狙わずに真っ先にここに来たんだ?


 しかも、さっきの重低音の鳴き声のせいか、全てのオークの股間が……勃起してやがる。


 何だこれ……?

 こんなオークは聞いたことないぞ?



 ――これは何だ? 何が起きている?



 ゾクリと、背中に嫌な汗が走る。


 と、同時に俺は舌打ちした。


 仲間の死体に群がったオークは3割で、残り7割は……俺を無視して教会へと向かったのだ。


 連中の股間の状況を考えるに、狙いは人間の女と見えるな。


「うわ、うわああああ! こっちに来たぞ!」


「た、た、助けてっ!」


「石だ石、石を投げろ!」


「ダメだ、全く怯まねえっ!」


 これは、不味い。


 教会までの距離は遠くはない。

 走ればすぐの距離で、俺が駆けつけて他の冒険者と連携を取れば、あるいは被害ゼロで済むかもしれない。


 が……そうは問屋が卸してくれないようだ。


「オークキング……か」


 通常のオークよりも遥かにデカい。


 デカいってことは、シンプルに他のオークよりも強いってことだ。


 身長は3メートル強、体重は……1トンを超えるだろうな。


 ドシィ――ン。


 ドシィ――ン。


 ゆっくりと、威厳すら伴った悠然感と共に、俺に向けて群れのボスが迫ってくる。


 と、そこでオークキングの後ろから、他のオークがこちらに向けて2体走ってきた。


 で、オークキングを追い抜いて、俺に向けてオークたちが一目散に駆け寄っているところで――



 ――ドバシュン


 

 オークキングが持っていた、2メートルを超える、長くてデカい棍棒が2体のオークを薙ぎ払った。


「アブシャっ!」


「ウギュっ!」


 一撃で全身の骨が砕かれたようだ。

 手足を有り得ない角度に曲げて、2体のオークが吹き飛んでいく。


「一騎打ちを望んているってことか? ま、ケダモノにしては殊勝な心掛けだ」


 ってことで、スキル:鑑定を使用。




・オークキング レベル35


 オーク種の最終進化形態。

 厄災を除いた、通常討伐では最高レベルに危険認定されている。

 討伐するには通常、Cランク冒険者5人か、あるいはBランクの中位以上の戦力が必要。

 なお、これ以上の危険度の魔物が確認された場合、ギルド支部であれば主力クラスのパーティーが複数収集され、対策が検討される。 



 さて、やっぱり予想通りにオークキングか。




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 ステータス


 名前:タイガ


 職業:村人


 レベル:26→29(限界値30)


 HP362/362→392/392


 MP0/0




・能力値


 筋力:48

 体力:15

 魔力:3 

 敏捷:25

 器用:15

 幸運:3


 所持スキル:食いしばり レベル2

      :鑑定    レベル1



 残能力値ポイント:7→13

 残スキルポイント:80


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