第22話 どれくらい強くなったのか確認します。軽く引きました。
――オールキル達成! おめでとうございます!
――システムへの功績が評価された結果、ボーナスクエストの権利が与えられました!
――有償魔虹水晶を手に入れるチャンスです
――なお、クエスト失敗時はプレイヤー死亡も含めた苛烈なペナルティが課せられる場合があります
――ボーナスクエストに参加しますか?
―― YES NO
ボーナスクエスト?
プレイヤー死亡のペナルティ?
何だか良く分からんが、要は普通に死ぬ可能性があるってことだろ?
有償魔虹水晶ってのは、恐らくショップ機能を使用するために必要なシロモノのはず……。
で、この≪システム≫とやらの反則級の効果は既に俺は十分理解している。もちろん、ショップ機能も有用だろう。
でも……死亡…?
いやいやいや、それはさすがにノーサンキューだろ。
しかもこのシステムは普通に殺害を要求してきたりするノリだし、恐らく……本当に俺が死ぬ場合もある。
そりゃあまあ、強くはなりたい。
けど、今はまだデイリーボーナスとかもあるわけだしな。
――ボーナスクエスト≪レイドバトル≫に参加する際、所持権利行使の制限時間はレベルアップ回復ボーナスと同じです。
――ストックは1回限りで使用期限は1週間となります。
――権利行使の瞬間から≪レイドバトル≫がスタートします。
――魔虹水晶を無償で手に入れる機会は限られています。是非ともこの機会を有用に活用ください。
おお、そういうことなら、遠慮なく一旦保留だ。
っていうかレベルアップ回復ボーナスって1週間が期限だったんだな。
でも、レイドバトルって何のことなんだろう?
ソシャゲだと普通の単語なのかもしれないが、生憎と俺はソシャゲをやったことはない。
っていうか、そもそもこのシステムは何なんだよ。
まあ、そこを考えても仕方ないとは思うがな。
しかし……どうするかな。
スタートダッシュミッションのデイリーボーナスを受け取ることができるのはあと5回……。
まあ、その期間終了を見てからでも全然遅くないか。
ってことで……今後の方針だ。
とりあえずどうしようか。
ケントが国王のこの国に俺がいるのは……何となく不味い気がする。
俺が生きていると知ったら、恐らく……奴らはもう一度殺しに来る。
ケントは国王で、他の二人も大貴族って話だからな。
かつての仲間を非道な方法で殺そうとしたなんていう事実は、奴らとしても無かったことにしたいだろう。
死人に口なしってのは本当のことだし、この場合もその方法が採用されることは間違いない。
「と、なると……北か」
この近辺の街が滅んでしまったとのことだ。
どの道、かなりの距離を移動することになるのは覚悟している。
なら、どうせならこの国から出てしまおう。
ケントたちから離れる。まずはそれが最優先事項だ。
――けれど、俺としても≪暁の銀翼≫の面々をこのままのさばらせておくつもりはない
国境を越えて、生活基盤を確保して、そしてこの≪システム≫の力を利用して力をつける。
何をやるにも、身を守るにも相手を攻めるにも、全てはそれからだ。
「方針も決まったところで、それじゃあ行くか」
俺は山賊たちから身ぐるみをはいでアイテムボックスに収納した。
もちろん、賞金首討伐証明となるステータスプレートの回収も忘れずにな。
――翌日
森の道すがら、俺は今の自分の力を試すために魔物を狩っていた。
ちなみに今日の分のデイリーボーナス達成条件である≪自分より弱い魔物を5体倒す≫という条件はクリアー済みだ。
で、今の俺のステータスはこんな感じ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ステータス
名前:タイガ
職業:村人
レベル:25(限界値30)
HP342/342
MP0/0
・能力値
筋力:48
体力:3→10
魔力:3
敏捷:3→12
器用:13
幸運:3
所持スキル:食いしばり レベル2
:鑑定 レベル1
残能力値ポイント:16→21→5
残スキルポイント:30→40
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5だけ残しているのは、非常事態の時に備えてってことだな。
いざという時に状況に応じて振り分けることが有用なのはジャイアントスパイダー戦でも実証済みだ。
しかし、もう一つのデイリーボーナスのスキルポイントってのは何なんだろうな。
100を貯めると何かできるらしいが……。
と、それはさておき。
俺が相手にしているのはゴブリンだ。
ま、雑魚中の雑魚と有名な魔物だ。
見た目の身長や筋肉は人間の子供で、小ぶりな石斧で武装もしている。
それで、力のほども小ぶりな石斧で武装している子供と、ほぼ同等。
つまり、集団で襲ってくると厄介なんだが、今回は4匹ほどの群れで問題ない。
いや……違うな。
俺の後方10メートルほどの茂みに1匹、奇襲用に隠れているか。
ちなみに、どうやらこれは敏捷の効果らしい。
と、いうのも敏捷を上げると、反射神経とかが上がった他に、五感が明らかに冴えわたったんだよな。
遠くの臭いを感じられるようになったし、何となく気配も感じられるようになったのは上げた瞬間にすぐに分かった。
まあ、ちょっとしたエスパーみたいな感じで中々に面白い。
斥候職のシーフなんかが得意とするような、察知系の能力に近いかな。
シーフは普通の意味での敏捷性も高いし、そのあたりも関係あるのかもしれない。
そして俺を取り囲んで来た4体が一斉に攻撃を仕掛けてきたんだが――
「シャアアアア!」
奇声をあげて攻撃を繰り出してくるゴブリン。
敏捷値のおかげで、こいつらの同時攻撃程度なら止まって見える。
瞬時に一番最初に仕掛けてきたゴブリンの背後に回り、その頭を掴み、全力で握る。
――パァンっ!
そんな音が鳴って、ゴブリンの頭は爆裂四散した。
いや、自分で言うのもなんだが、本当に人間辞めてるよな俺。
Bランクの格闘師じゃないと、こんな芸当は到底できない。
「ギャッ!」
「ギュっ!」
「ギョッ!」
残り三体のゴブリンを一瞬で切り捨てる。
俺の動きについてこれていないようで、連中はロクに反撃もできないまま、ただただ為すがままに斬られたといった感じだ。
うん、山賊の時よりも遥かに体の動きが良い。
と、いうよりも筋力を上手く扱うことができているのが良くわかる。
で、俺の背後に隠れていたゴブリンが忍び寄ってきて、全体重を乗せた鋭い石斧の一撃を振り落としてきた。
が、俺は敢えてその攻撃を右腕でモロに受けた。
――うん、ちょっと痛い
だが、ちょっと痛い程度で……済んでいる。
以前の俺なら下手すれば骨折していただろうが、これが体力値の防御効果ってことだな。
「そういや、ゴブリンの肉って美味いって話だったな。干し肉でも作るか」
「ギッ……!?」
俺の不穏な発言を理解しているとは思えない。
けれど、ゴブリンは確かに明らかな涙目を作ったのだった。
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