第8話 蜘蛛の襲撃

 計画に穴が無いかを確認するため、ナイトウォーカーの巡回路をじっと眺めながら数時間が経過した。


 壁に張り付いているのは常時数匹ってのは変わらずだな。


 で、奴らのスイッチがオンになる半径5メートルってのを考えると、やはり数を半分くらいにはしておきたい。


 上っている最中にコンニチワって感じになったら、そこでおしまいだからな。

 



 まあ、元々の数がそんなに多くない。

 なので規則的な巡回であることを利用して特定の巡回個体を2~3匹叩く感じでやっていけば、巡回警備の空白時間はかなりできるだろう。

 連中の警備範囲は400メートルくらいまでの高度までのようだしな。


 とりあえずは想定通りか……と、思ったところで俺は「あっ」と息を呑んだ。


 と、いうのも遠く上の方からこちらに向かってくる生物……というか、そのものズバリでジャアントスパイダーを5匹を発見したからだ。


 奴らはさすがに蜘蛛だけある。とにかく、凄い勢いでこちらに向かって降りてくる。


 ちなみに、全員が一心不乱に俺の方を向いているので、どうやら餌を探して……ということらしい。


 どうして俺がロックオンされているかはいくつか理由は考えられる。

 まあ、普通に考えて、人間の臭いに釣られてというのが一番確率が高いだろう。


 そうなってくると、やはり竪穴を昇る際には……もっとたくさんの数に群がられることになる可能性は高い。


 とにもかくにも、俺は壁を5メートルほど登り、ジャアントスパイダーに対する迎撃の体制を整える。


 地面に立ったままの方が、迎撃が楽なのは明らかだ。


 けれど、これは試験として、せっかくの機会であることもまた事実なんだよな。


 はたして、俺が壁に張り付いたたままに、どれだけ戦えるのか……。


 で、見る見る内にジャアントスパイダーはこちらに迫ってくるわけだ。

 そんでもって、200メートルほど上にいるナイトウォーカーの巡回経路とガッチャンコして、その攻撃範囲内にさしかかってしまったんだ。


「おいおい……」


 貴重な練習相手なので、ナイトウォーカーにやられてはちょっと困る。


 が、結論から言うと、すぐに杞憂だと分かった。


 ちょっと驚いたんだが、ナイトウォーカーが壁を動き回る丸い影の中から……まさかの真横に生えてきた……と、それはともかく。

 ナイトウォーカーはジャアントスパイダーを確認すると同時に攻撃には映らずにそのまま素通りさせたんだよ。 


 魔物同士なので反応しないってことだと思うんだけど、これは今の俺には素直にありがたい。 

 

 ってことで、壁に張り付いたままで、本番さながらに俺も迎撃開始だ。


 アイテムボックスを呼び出す。これだけで迎撃用の石は十分だ。


 で、一匹だけ突出してこちらに向かって来ているジャアントスパイダーに目をつける。


 まだ……早い。


 せめて20メートルくらいの距離に来たところじゃないと、石の攻撃がダメージとはならない。


 良し、ここだ。


 目測20メートルと判断した俺は、石の乱れ打ちを始めた。


 1発、2発、3発、4発、5発……全弾不発。


 まあ、20メートルほど離れているし、当たらなくて当たり前だ。


 本当だったらここで使いたくはないんだけど、まあ仕方ないだろう。


「ステータスオープン。残能力値ポイントを全て器用に割り振る」




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 ステータス


 名前:タイガ


 職業:村人


 レベル:20(限界値30)


 HP292/292


 MP0/0

 MP0/0


・能力値

 筋力:39

 体力:3 

 魔力:3 

 敏捷:3

 器用:3→13

 幸運:3



 所持スキル:食いしばり レベル1


      :鑑定    レベル1


 残能力値ポイント:10→0

 残スキルポイント:10

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