第7話 超格上のナイトウォーカーを狩って狩って狩りまくろう

 さて、アイテムボックスのおかげでいよいよ脱出計画が現実的になってきた。



 具体的に言うと、竪穴脱出に必要な要素は、おおまかに次に3つとなる。



1 頂上まで辿り着くのに必要な筋力と体力


2 ナイトウォーカーの竪穴の壁巡回対策


3 襲ってくるであろうジャイアントスパイダーの対策



 竪穴の壁を行き来するナイトウォーカーについては、これから自爆戦法を繰り返せば数を減らすことについては何とかなる。


 連中は壁については影になって移動巡回しているが、ある程度の規則性のある動きだし、目に見える範囲程度にしか上層にはいかないことは既に分かっている。


 300メートルか400メートルくらい昇ってしまえば、後は気にする必要はない感じかな。 


 が、ナイトウォーカーの代わりに竪穴中層域以上で現れるであろう、ジャアントスパイダーについては、出くわすとかなり困ったことになる。


 と、言うのも奴らは群れで襲ってくるんだよな。


 普通に立っている状態で洞窟内で出くわしたとしても相当以上に面倒だってのに、こっちは壁に張り付いている状態だ。


 と、いうのも……こちらは筋力にモノを言わせてロッククライミングで多少は俊敏に動ける。

 とはいえ、向こうは蜘蛛だ。

 壁を昇ったり降りたりなんてお手の物だし、何なら天井から釣り下がってくるような奴らだ。



 ――地の利は絶望的に不利



 オマケに数でも圧倒的に不利だ。


 実際、ついさっき5メートルのところから落ちてみたが、普通に痛かった。


 と、いうことは数百メートルの高さから落ちれば、そこで即時にアウトなのは間違いない。


 自爆戦法の時はナイトウォーカーの経験値&レベルアップ回復が保障されてるので何とかなってる。

 

 が、ただ落ちるとなれば話は全然違うってこったな。


 ロッククライミングの最中に大蜘蛛に襲われでもしたらたまったものではないってお話で、だからジャアントスパイダー対策をずっと考えていたんだが……


 ここで我らがアイテムボックス先生の登場だ。


 と、いうのもアイテムボックスをさっき観察してたんだが、少しだけ宙に浮いていたんだよな。


 つまりは、ロッククライミング途中にアイテムボックスを呼び出して≪武器≫を手にすることができるというわけだな。


 ってことで、脱出計画の肝の概要だ。



1 手ごろな石を拾いまくる


2 ナイトウォーカーを駆逐してレベルを上げる


3 スタートダッシュのミッションを全て達成して能力値ボーナスを根こそぎ頂く




 2と3は言うまでもないだろう。

 何をするにしても基礎的な力……つまりは、レベルと能力値は必要になってくる。




 それで、肝は1だな。

 手頃な石ってのは、壁に張り付きながらでも投擲することのできる石のことだ。


 さっき昇った時に試してみたんだが、壁に張り付きながら引くくらいの速度で石を投げることは可能だった。

 なので、ジャアントスパイダーに群れでこられても……少なくとも対抗手段を得たことになる。 

 要は近づかれる前に払い落す感じでやりゃあ良いんだからな。


 連中としても、縦横無尽に壁を移動できるだろうが、かといって、不安定な足場での攻撃を想定しているというわけでもない。


 実際問題、昔に洞窟内で遭遇した時は簡単な爆風とかで良く飛んでいたし。


 例えばだ。

 超高層ビルなんかの建物は上下からの力には強く設計されているけれど、前後左右からの力についてはほとんど考慮されていないわけだな。


 恐らく、それと似たような感じで、奴らでも壁を地面と同じように歩いているっていうわけでもない。

 ただ、俺たち人間よりも遥かに壁走りなんかが得意ってだけの話だ。

 ならば、想定外の投擲攻撃には脆い可能性は高い。



 とはいえ、これはあくまでも今までの経験からくる推論で、ぶっつけ本番をやるわけにもいかん。

 なので、ナイトウォーカーの駆逐がある程度進んだら、一度、実験として途中まで上がってみる必要はある。

 実際にやってみて、投擲が武器にならないと分かったら他の方法を考えなきゃいかんわけだし。

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