第6話 スーパーツリーの光のショー

 ショップには、可愛くてお洒落な商品が並んでいる。


 ボタニカル模様のフリクションペンやマグネットと共に、ARCHアーチフレームが並んでいた。繊細な木彫りの技術でシンガポールの街並みを再現した作品は、思い出の一品にピッタリだ。


 雑貨好きな私は、時間を忘れて見入っていた。



 すると、ボタニカルな香が、美人な彼女と話しながら入って来た。


 うわーまた会った!


 私は関係も無いのに、こそこそと店の奥に移動する。


 切れ切れに聞こえてくるのは……? 英語だ!


 凄い、外国人の彼女が居るんだ。

 仲よさそうだな。



 私は友人へのお土産を買って、早々に引き上げた。


 

 スーパーツリーに架かる吊り橋を歩いてみる。

 少しだけ下が空けて見えるので、高所恐怖症の私はちょっと怖かったけれど、吹き抜ける風と景色の良さにうっとりした。


 午後7時が近づいてようやく暗くなってきたシンガポールの夜、このまま光のショーを見ようと下に降りて場所取りすることにした。


 既に多くの人が座ったり、寝そべったりして場所取りしている。


 人通りを避けて地面に座り込んだ。


 スーパーツリー人工樹木とマリーナベイサンズの船


 絵のような風景をぼーっと眺めていた。




「すみません、横いいですか?」


 いい声‼ しかも日本語!


 そう思って見上げると、ボタニカルな香りが!


 え?


「ど、どうぞ」


 突然の出来事に心臓がバクバクする。


「やっぱり日本人の方ですね。どこに座ればよいかわからなくて。助かった」


 言われてみれば、上演10分前。混んできているはずだわ。



「あの、もう少しこちらに詰めれますので、お連れの方も座れますよ」


 きょとんとした彼は、


「一人だから大丈夫ですよ」

 

 そういえば、さっきの美人は一緒でないみたい。


「あの……昨日一緒の飛行機でしたね」


「? そうだったんですか。すみません、気づかなくて」

「いえ、いきなりすみません」


 私は恥しくなって黙った。


「旅行ですか?」

「あ、はい」


「お一人で?」

「……はい」

「すみません。ぶしつけな質問をして」

「いえ、私の方が先に変なこと申しましたのですみませんでした」


 二人で謝り合うと目が合った。


 彼はふっと優しく笑うと、


「私は仕事で来ているんです。重要な商談が上手く行ったので今日はもう楽しもうと思って」

「あ、お仕事だったんですか」


 先程の美人は、ビジネスの相手ってことね。

 

 俄然勇気の沸いてきた私。

 

 何を舞い上がっているのよ! 私ったら!

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