第10話 そうだよ鷹宮(便乗)
「お、お姉ちゃんが家に男連れ込んでる……」
ゲームをしていると、ドアが開いて三つ編みの椎名さんの妹が現れていきなりそんな事を言い出した。
「そう。彼は私の婚約者なのよ、オホホホホ」
「ちょ、椎名さん!?何言ってんの!?何その変な笑い方!?」
「お、お姉ちゃんの婚約者!?」
「冗談。この人は
何故か
「あぁ……この人が噂の鷹宮さん」
「何……?なんで俺が噂になってんの?」
「痩せた原因を父親にしつこく聞かれたから、鷹宮君の事をちょっぴり話したら家族に広まったの。ごめんね、勝手に話して」
「いやいや、それは別にいいけどさ。……俺、椎名さんのお父さんに敵視されてない?」
「されてるね」
「えぇ……」
「でもお父さんが鷹宮に失礼なこと言ったら、私に近寄るの禁止って言うから大丈夫!」
「それ更に俺が恨まれないかなぁ?」
全然大丈夫じゃない。
俺がげんなりしていると、廊下の方からバタバタ足音が聞こえてきた。
「あらあらあら!この子が鷹宮君かしら!?」
テンション高めな感じの椎名さんのお姉さんが現れた。
「あ、お母さん」
と思ったが違った。
「お母さん!?お姉さんじゃ無くて!?」
見た目が超若い。女子大生と言われても信じる見た目。
「あらあら、嬉しいこと言ってくれるじゃないの〜これは真奈ちゃんが惚れるのも分かるわ〜!」
「お母さん!アホなこと言わないで恥ずかしいから!」
「冗談よ〜!じゃあ鷹宮君、ごゆっくり〜!ほら、邪魔になるから行くわよ!」
テンション高めに去っていったお母さんに連れられて行った妹さん。
「ごめんねハイテンションな母親で」
「いや、うちの父よりマシだから……」
あの脳筋な父に比べたらよっぽどマシだろう。
「鷹宮も苦労してるんだね……」
「……まぁね」
海パンでポーズを取ってるいつもの父親の姿が浮かんでしまった。……出てくんじゃねえ。
―――
「わっ!」
ゲームを黙々とプレイしていると大声とともにドアが勢いよく開けられた。
俺と椎名さんは驚いてビクッと体が反応してしまった。
「……お母さん、子供みたいな事しないで」
お母さんを睨む椎名さん。
「ごめんなさい!」
「それでお母さん……何?」
「今日って金曜日じゃない?明日休みだしここに泊まってかない?」
「……お母さん……ナイスゥ!」
お母さんへの態度のトゲトゲしかった椎名さんがいきなりナイスゥ!とか言い出した。
「えっ、いや迷惑じゃないですか?」
「大丈夫よ〜部屋ならまだ沢山あるしお手伝いさんも居るし〜」
「そうだよ鷹宮!」
断ったらなんか……悲しい雰囲気になりそうだな……
「……じゃあ、はい。分かりました。泊まります」
押しに弱い。
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