第4話 16日目
3日目から椎名さんが朝からやると言い出した。やはりそれほどまでに藤瀬が憎いのだろう。これはほんとにざまぁが楽しみだ。ペースがだいぶ早くあと少しでぽっちゃりみたいな段階に来てるし。
「おはよう。今日も朝からとはやる気に満ちてるね」
「鷹宮こそ、夏休みに人の為に5時起きとはお人好しにも程があるんじゃない?」
何を言ってるんだ?これは俺の快楽のためだ。
「はっ、俺がお人好し?昨日に続きこう言っちゃ失礼だけど椎名さんって頭おかしいんじゃない?折角痩せてきたのに頭がそれじゃあ……」
「……はいはい。頭がおかしいって事にしとく。じゃあよろしく」
「オッケー。まずランニング行こっか」
―――
ランニングに行った後、朝ご飯を食べてすぐ軽い運動としてウチのジムの階段を軽く上り下りしてもらう。食後に激しい運動は当たり前だが吐くからNGだ。
「朝のランニングっていいね、人があんまりいなくて走りやすい」
椎名さんが爽やかな表情で言う。
「たしかに。朝の方が空気も澄んでるしね」
「あ、鷹宮」
「ん?なに?」
「そ、そういえば彼女とかいるの?」
グサッときた。特に心に。
「彼女いない歴イコール年齢ですけど何か!?」
「いや、何となく聞いてみただけだから……」
「何となく聞かないでよ……」
「ふふ、そうなんだ。鷹宮って彼女いない歴イコール年齢なんだ……」
面白そうに笑う椎名さん。
「ちょっと失礼すぎやしないかい?」
「ごめんって……わっ、」
階段をツルッと踏み外した椎名さん。腕をのばし何とか受け止める。
「っと、危な。ほら、俺の人生を馬鹿にしたからバチが当たったじゃん」
「……うん」
何故かぼーっとしてる椎名さん。
「どうした?貧血?」
「そ、そんなとこ!」
ガバッと起き上がる椎名さん。
「あ、良かった。元気そうだ」
「た、鷹宮!早くトレーニング!もう完全に消化したから!」
「おっ、ほんとやる気溢れてて素晴らしいね」
急いで階段を上がる椎名さんを追いかける。
―――
「ふん!」
「鋭いパンチ!いいよ〜!」
「ぐぬっ!」
「キレがいいねぇ〜!」
「どりゃあ!」
「体の芯まで響く!」
と、その後はこんな調子で俺を昼飯まで休憩もちょくちょく入れつつパンチしてもらう。
―――
「やっぱり鷹宮の作ったご飯美味しい……考えてくれるメニューもそうだけど……」
鶏皮ポン酢という鶏皮にポン酢をかけてお好みでネギをトッピングするという料理を食べながらそんなことを言う椎名さん。
「そんなに?」
「うん。凄くおいしい」
「お昼ご飯の後も食べた分頑張ろうね?」
「うん。頑張る」
美味しそうに鶏皮を頬張る椎名さん。なんか餌付けしてる感じがする。
「鷹宮って好きな人とかいないの?」
「ごっ、ほ!な、なに急に!?今日なんかおかしくない?」
びっくりして噎せた。
「いや何となく気になって」
「いるわけないじゃん?それに今は椎名さんが1番だし」
「ごっ、ほ!……は!?」
「え、なんかおかしなこと言った?優先度は椎名さんが1番だよ?」
「な、なるほどそゆことね……まぁ、そうだよね……こいつはこういう事をさらっと言っちゃう奴だ……」
なんかブツブツ言ってる椎名さん。
その後椎名さんはブツブツ言いながらトレーニングしていた 。
どうしたんだろう。
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