第3章:冷静にゲームクリアを分析する
第40話:冷静にジョカ横始動
魔法王立ルーナ学園の入学式を控えた私たち転生トリオはファイ様を加えて作戦会議の真っ最中だった。
「エフィスです。
この乙女ゲームジョカ横の設定を一回整理しておきたいと思います。
ババ抜き系乙女ゲーム、The joker is next to you略してジョカ横は、三回のジャッジメントでババ、つまりジョーカーを引かずにヒロインの恋愛が進められれば我々ゲーマーの勝利というゲーム内容でした。
以下ジャッジメントの内訳です。
一回目、悪役令嬢アティスの10歳の誕生日エスコート役選択。
二回目、2学年時魔法旅行でのペア選択。
三回目、学園卒業後の進路選択。
しかし、今回はイレギュラーなことにジョーカーは、私たちこと、アティスになっています。これは支配人という謎の人物が出現し決定したことです。
さらに支配人は、こんな条件を私たち転生者に与えました。
一つ目、ヒロインクシュナが王子ジュノーと結ばれること
二つ目、エフィスとアクエスが結ばれること
三つ目、支配人が誰なのか特定すること
この三つです。
今から学園卒業までたったの3年間しかありません。
私たちはこの三つの条件をクリアし、3人で転生人生に終止符を打ち乗り越える必要があります。そのためにも乙女ゲームの修正補正の入るジャッジメントの行事は私たちの好都合の機会となり得ます。心して取り掛かりましょう。
私からは以上です。」
冷静な整理演説ありがとうございました。
引き続き、ファイ様、どうぞ。
「ご指名いただいたので、私からも説明するね。
支配人につながるかもしれない情報だ。
私個人である筋を疑っている。
それは、祖父アクエスを唆し、母スフェナを死に追い込み、アティスを竜人に変えた張本人、例の魔術師の存在だ。
君たち学生がこの件にかかるのは些か危険だし、特に、クシュナ。君には条件クリアのためジュノー殿下となるべく学校では一緒にいてもらいたい。
だから、私はもう少し単独でその調査を続けようと考えている。
でも…そうだな、魔法旅行の際にはみんなと合流しようと思う。私はその頃編入生として学園に入るつもりだからそれに…美琴とペアを組むためにもね!」
私の顔がポッと赤くなる。
(→美琴、わかりやす過ぎですよ)
クシュナは私の様子を見て、
「はは〜ん。美琴、よかったわね、良きパートナーがいて。
それともあれか〜?エフィス、ファイ様のオババのお前が喜んどるんか、孫は特別にかわいいっていうからのう〜??」
「クシュナ、おだまりなさい。
美琴とファイ様の恋路に首を突っ込む前に、まずあなたはジュノー攻略よ。」
「え、エフィス。私と、ファイ様の恋路って…」
「はははは。美琴とエフィスは面白いな。一人二役!!!
美琴、やはりババ様と別々になれる方法を今すぐ探そう。やりにくくて仕方ない。」
「ファイ様!やりにくいとは何事ですか??私がいなかったら、何をしようというのです…美琴と二人きりで…ムムム」
ファイ様はさも何もなかったかのように私たちに微笑みかけている。
「こんな私たちで支配人に勝てるか心配になってきたわ…」
今回はヒロインクシュナが一番冷静に状況を確認していた。
******
魔法王立学園ルーナ。
この国の貴族たちは皆魔法を扱うことができる。
火、水、土、風の四代魔法の他、光、闇、治癒魔法属性などもある。
私たちは入学式に自分の属性を知ることになっているのだが、ある程度の場合予測はつく。なぜなら属性は遺伝しやすいのだ。
そんなことを考えているうちに学園についた。
真っ白な建物で所々に銅や黄金で装飾された建物は実に乙女ゲームそのものの世界観にあっていた。
霧月国で、一回悪役令嬢の生息領域を離れて、別物になりかけていたからね…この光景をもう一度見られてほっとしているよ…
噴水を挟んで西側には教会がありそこで属性魔法洗礼の儀を執り行う。
魔法、楽しみだな!
まだ竜にも変身できて無いし、今の今までただの令嬢気分しか味わってないんもんね!ファンタジー要素やっときたよ!!
(→あなたはただの令嬢の日常をろくに経験していませんよ。思い出してください。)
****
教会に入った。
参列者の中には、私たちより一つ上級生の攻略対象、ジュノー殿下と宰相息子ジャミン、騎士団長息子ジュリアスの姿があった。霧月国に行ってから一度も見たことがなかったので、彼らの成長に驚く…本当にゲームのまんま美しく成長を遂げられていた。
(→ちなみに弟ジェイの成長も驚きました。もちろん妹アンジュも…)
神官長が壇上に現れた。
あ、あの人知ってるぞ。
(→あ、アクエス!!!!)
アクエスはエフィスに気づくと優しい笑顔で答えてくれた。
新入生代表の挨拶が始まる。その人は意外にも、ヒロインクシュナだった。
(→クシュナ…!!私はとても嬉しいです。あなたったら毎回勉強ができなくてそれでも全く気にしていなかったのに…あなた修行を本当に頑張ったんですね…涙目)
「本日は私たち新入生のためにこのようにお集まりいただきありがとうございます。
新入生の私たちは大志を抱いてこの学園に入学しました。
皆さんはこの学園で何をしたいですか?何を目指し何になりたいですか?
私はすでに決めています。
私はジュノー殿下と結婚しこの国を治められる人になれるよう
努力してまいります。
さあ、みなさま、共に夢に向かって突き進みましょう。
私たちなら、なんでも叶えられる、なぜなら、
努力は人を裏切らないからです…!!
以上です。
新入生代表クシュナ・ハルビン」
彼女の挨拶の後会場は盛大な拍手に包まれた。
彼女の熱い思いはこの会場で反響し私たちも同じように勇気をもらった。
努力は人を裏切らないか…
本当に努力して代表に選ばれたクシュナに文句を言えるものは誰もいなかった。
「ジュノー…先手を打たれてしまったな」
ジャミンが王子にそう呟き振り返ると、ジュノーの顔は予想外に赤いかった。
ジャミンはジュノーを意地悪そうに見る。
「ち、違う。これは、その、皆の前であんなことを言われてさすがに恥ずかしかっただけだ。おい、あっちを向け」
慌てる殿下、それをまた笑うジャミン。その二人を見てジュリアスは少し安心した。
クシュナ、お前の思いが王子にも少しは届いたようだぞ…
妹の成長と幸せを密かに願うジュリアスだった。
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