第5話
勝たちの元まで戻った俺と桜蘭は、勉強会を再開した。その後は順調に進んでいき、全員がきちんと勉強することができた。
「んー……!今日は、こんなもんか?」
「そうだね。お疲れ様、皆」
俺がのびながらそう言うと、桜蘭も頷いてくれた。桜蘭のその言葉を合図に、勝たちも勉強道具を片付け始める。
「あー……。マジで疲れた……」
「勉強しすぎだろ……」
「……来週もやるからな」
「「マジかよ!?」」
本当に疲れた様子で勉強道具を直していく勝と秀明だったが、利光の来週もやる宣言に本気で驚く。最初から定期的にやることを告げていたはずだが、疲れすぎてそんなことは忘れていたようだ。
「何回も言うけど、継続は力なり、だよ!」
「俺らもいるし、一緒に頑張ろうな」
桜蘭と俺の言葉に、勝と秀明は更に嫌そうな顔になった。だが、勉強しなければいけないのは分かっているようで、そんな顔になりながらも頷いてくれる。
「俺はこの後、ちょっと遊んでいこうかと思うんだが、お前らはどうだ?」
俺がそう言うと、桜蘭以外の全員が渋い顔になった。どうやら、無理そうだ。
「悪い。俺はこの後塾だ」
「マジかよ利光!?この後から塾とか……。俺はもう疲れたから、帰るとするわ」
「俺も。勉強しすぎて、早く家に帰りてえ……」
利光は塾という用事があり、勝と秀明は勉強がきつくてもう限界のようだ。と、なると……。
「そうか。じゃあ、桜蘭は?」
「僕は大丈夫だよ。遊んでから帰ろっか」
「サンキュー、桜蘭」
桜蘭が残ってくれることになったので、俺は桜蘭に礼を言う。桜蘭は微笑みながら、俺のその礼に答えてくれた。
「ううん。僕も信護君と、もう少し一緒にいたかったし」
「そうか。嬉しいよ」
桜蘭の言葉を嬉しく思った俺は、笑みを浮かべながらそう返す。俺と桜蘭が笑い合っていると、周りからジト目を感じた。
「……な、なんだよ。お前ら」
「いや?ただお前らがカップルに見えただけだが?」
「それな」
俺がそう問うと、利光と秀明がジト目のまま答えた。勝もまた、ため息を吐いている。
「はぁ……。ま、傍から見たらそうにしか見えねえと思うぞ」
「そうか?まあ、別に構わねえよ。桜蘭と遊べるなら」
「うん。あんまり気にしなくてもいいよね」
「そう思うなら、いいけどよ」
俺と桜蘭の答えに渋い顔をしながら頷いた勝は、そう言いながら自分の荷物を持った。そして勝は、利光と秀明と共に立ち上がる。
「じゃあ、俺たちは帰るわ。またな、2人とも」
「おう。またな」
「うん。またね」
勝たちは俺と桜蘭に別れを告げて、この場から立ち去っていった。俺と桜蘭はそんな勝たちを見送ってから、移動するために立ち上がる。
「じゃあ、俺たちも行くか。どこに行く?」
「んー……。あっ!プリクラ撮りに行かない?今度行こって言ったもんね」
「おっ!確かにな!よし、プリクラ撮りに行くか!」
「うん!行こ行こ!」
行き場所が決まった俺たちは、各々の荷物を手に取る。そして俺と桜蘭は2人並んで、プリクラがあるゲームセンターへと歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます