第3話 ダンカーさんは考える
「処女・・・だと・・・!?」
処女の奴隷は一般的な奴隷とは違い、価値が跳ね上がる。
一般的な男性奴隷の価値が金貨2枚だとする。女性が金貨5枚。処女だと10枚以上の価値となる。
それを知っているダンカーは考える。いっそ、自分の持ち物にしてから売り飛ばしてしまうか、と。
ダンカーは別に性処理が必要では無い。
処理しようとすれば、ここにいるメイドで事足りる。だが、それ以前の問題があった。彼は勃たないのだ。
この少女で解決するという可能性も無くはない。だが、目の前のメアリーがそれを許すのかどうかは未知数である。
ダンカーは慎重に言葉を選ぶ。
「君は、この子をどうするつもりなのかな?」
「それを考えるのは、旦那様の役目です。わたくしは事実を申し上げているだけですが?」
うーむ、困った、とダンカーは改めて少女を見る。子供を愛する趣味は彼には無かった。それを差し引いても、なかなかの美少女で、将来有望であることは間違いない。今の少女のままでも、性癖に刺さる人には刺さる、とダンカーは思った。
「風呂に入って、色々と考えてみるよ。先に、その子を寝かせておいてくれ」
「この子、お腹が空いているみたいです。旦那様は、あちらで夕食を召し上がりましたか?」
「うん。ずっと食べていたし、たくさん呑んだ。僕の分はいらない」
「わかりました。お背中流せなくて、申し訳ありません」
メアリーが残念そうに頭を下げる。
いや、いいよ。君が一緒だと風呂が長くなるからたまには一人で入りたい、とダンカーは安堵した。
「君、名前はなんと言うんだい?」
「リーゼ」
「リーゼか、良い名前だね。今からうちのメイドが夕食を出す。それを食べて、今日は寝なさい」
「あのっ、お願いです。わたしを側に置いてください」
「僕は、嘘つきが嫌いだ。この状況もだ。意図していない。君が結果として女性だったからって、僕の取る行動は変わらないよ?」
「だから、女性に好かれないのですよ」
「うるさいなぁ。僕が平穏を乱すやつを嫌うのは、君だって知っているだろう?」
「丁度良いお薬になる、とは思いますが。それでは旦那様、また後程」
ーーーーーー
風呂を終えて、着替えてテーブルに着くダンカー。手には度数の高い酒を持っている。メアリーもリーゼも寝室にいるので、彼一人の晩酌だった。
「パーティの美味い酒より劣るが、これも悪く無いな」
グラスに少しだけ入れて、それを一気に飲み干す。喉が焼けるような爽快感を味わって、ダンカーはそれをもう一度繰り返す。
グラスにもう一度注ごうか、という時に、メアリーの手がダンカーの手を掴む。
「もういいでしょう。これ以上は、正常な判断ができなくなります」
「僕はあの子をここに住ませる気は無い。それは変わらない」
「旦那様を治すために、リーゼにも協力してもらうべきです。『不能のダンカー』と言われては、相手をしてくれる女性はいません」
「この話は止めよう。もう僕は、半分諦めてるんだ」
「わたくしは絶対に諦めません」
「それなら、あの子を養子にしよう。それなら、君も喜ぶだろう?」
パシィ、と乾いた音が響く。
わずかに痛む右頬を手で触りながら、ダンカーは驚いた表情でメアリーを見る。
「貴方が諦めても、わたくしは諦めません。まず、お酒を止めてください。眠気が勝ってしまいます。今日も見てるだけで興奮される子、いませんでしたか?」
「いるわけが無い。というか、興奮すれば勃つというわけじゃないんだ。それは、君だってわかっているだろう?」
「旦那様には、お辛いことをさせましたね。ごめんなさい」
ダンカーは困った顔を浮かべて、諦めて手に持っていたグラスを渡すだけだった。
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