レベル15
「そっちに行ってはダメだ、クレオ!」
俺がそう言った途端に、クレオが視界から消えた……。
エリーが心配した声でオレに駆け寄りながら聞いてくる。
「クレオが視界から消えたわ。私達も行かないと!」
白いヘビを見ると頷いている。
仕方ないな、という目付きで……。
「もちろんだよエリー。クレオの後を追っかけよう」
3人でクレオの後を追って行くと宝箱の前にクレオが居た。後ろを振り向くと、さっき来た道が無くなっている……。
「どうやら、罠にはまったみたい」
「え! 本当なのマサト?」
クレオはオレが指差す方を見ると帰り道が塞がれていて、すぐ横に別の道が新たに現れていた。唖然とするクレオだったけれど、宝箱を見てしたり顔で言う。
「でもこれって、宝箱だよ」
エリーが怒ったように右手を振りながら言う。
「あのねクレオ! 宝箱は、中にあるアイテムにあったレベルの魔物が守護しているんだよ。だから、レベルの高いアイテムはそれ相応の魔物が現れるんだからね!」
「それって、宝箱を開けてみないと分からないって事なの?」
「パーティーが全滅する程の、強〜〜い魔物が守護している宝箱もあるからむやみに開けないでクレオ!
特に今は、宝箱の情報が全く手に入らないんだから、とってもキ・ケ・ン!」
クレオは欲しそうに宝箱を見ている。クーポン集めて安く物を買うのが趣味のクレオは、今にも宝箱を開けそうな雰囲気。
ふとオレの方を見て、両手を合わせて頼み込むようなすぐさで言い始めた。
「マサトはどう思う?
この宝箱を開けた方がいいわよね?」
オレに聞くんですか?
って、思ったけれど、オレに聞いてくるって事は信頼しているからだよな。それに、こっちの道に行かないように強く止めたのはオレだから、信頼度が上がったみたい……。
宝箱の向こう側の壁に、白いヘビがまた現れた。今度は渋々縦に振っている。どうやらオレ達でも倒せる魔物らしい。アイテムも、それ相応に役に立つアイテムみたいだ。
「ここまで来たんだから宝箱を開けようよ。ここで現れる魔物は、ボス以上の強い魔物は現れない気がするんだ」
オレはそう言うとフレイアを見る。彼女はオレを見つめ、少し考えてから言う。
「そうですね……。
今までの経験からすると、そうなります。エリーはどう思われますか?」
エリーは、口を横一文字にして考えている。迷っているみたいだ。
「仕方ないわ。3人がそう言うんだったら開けようよ。
でもクレオ、これが最後にしてよ!」
クレオに強く念押ししながら、エリーは宝箱に近寄ってヤリで触った。突然宝箱が消えて床一面に子犬ほどのナメクジ……? が現れる。
「ナージだわこれ!
ネバネバの強力な粘液を出して、私達を動けなくさせて集団で襲って来るから気を付けて!」
フレイアがそう言って、みんなに指示を出し始める。
「みんな円形になって外側に向く! 襲ってくる目の前のナージを倒して!
ナージは動きが遅いけれど、飛び跳ねて上から襲ってくるから気をつけて!」
四方にナージがいるので、オレ達はフレイアの指示にしたがって円形になった。外側を向いて、目の前のナージを剣で倒していく。時々飛び跳ねて上下からの同時攻撃だけど、何とかしのげている。
「う、動けない!」
横に居たクレオが前に出すぎて、ネバネバに足を取られた。
「クレオ! 靴を脱いで元の位置に戻って!」
クレオは一瞬だけ
「私のお気に入りだったのに……」
その後は順調にマージを倒して殆ど居なくなり、数匹になるとマージが消えた。クレオは床に撒き散らされたネバネバを避けて靴を取りに行ったけれど、取れずに苦労している。
「このネバネバ、意外と強力……。
マサト、この靴取れる?」
軽く頷いてオレが靴を取ろうとしても中々取れない。思いっきり引っ張ると……。
ベェリィィィーー!!
靴にネバネバがくっ付いた状態で取れた。
「ありがとうマサト。でも、このネバネバ取れないわ……?
靴の見かけが、とっても悪いんだけれど?」
ネバネバが付いている様に見えるけれど実際は何も付いていなくて、そのようにオレ達に見せているだけだとクレオに説明する。クレオは納得がいったみたいだったけれど、ネバネバの付いた靴は気になるみたいだ。
エリーが宝箱があった場所に落ちている物を画面に取り込むと、興奮しながらオレ達に言う。
「これ、天使の夢だわ」
「天使の夢って?」
クレオがエリーに聞く。
「小さな願いを聞いてくれる優れもの。
販売価格が高くて、50万ペルぐらいかな。それが4つあるから200万ペルね」
「もしかして、このネバネバを取り除けるの?」
「間違いなくできるけれど、それに使うのもったいないよクレオ。願いが叶うと、天使の夢は消えるから。とにかく4つあるのでみんなに分けるね」
みんなに天使の夢を分けると、エリーが止めたにもかかわらずクレオは靴のネバネバを取るのに使った。
「もう! クレオはどうして天使の夢を使ったの? 信じられない!」
クレオはエリーが怒っているにも関わらず、普通に話す。
「靴をキレイにするのは女性のたしなみでしょう。だ・か・ら」
綺麗好きのクレオは、靴が汚いのが耐えられないみたい……。
それよりも先に進まないと。
それからオレ達は新たに出来た道を進んだ。分かれ道になると決まって白いヘビが現れて、俺たちの進むべき道を教えてくれた。その間、雑魚の魔物に何度も遭遇したけれど問題なく通過する。そして向こうの大きな部屋にボスが居るのが見えてきた。
ボス部屋の中をドアの外から見ると、1メートルの大きさの岩石が20ぐらい動いている。
「これ……、もしかして岩の塊なの?」
クレオが困惑したように言う。
「そうみたいです。厄介ですねこれは。
都市伝説では、この
エリーの柄には確か、オリハルコンが付いていましたよね?」
エリーは満面の笑みを浮かべてみんなに言い始める。
「この時を待っていたんだ。せっかく高いオリハルコンの柄に変えたのに、今まで魔物に使った事が無かったから」
フレイアは、エリーとボスの両方を見て言う。
「そう言う事であれば、エリーが最前列でお願いできますか?」
「もちろんよ。任せて!」
エリーはそう言うと、一直線にボスの部屋に入って行く。オレ達も後に続いてボスの部屋に入ると、入って来たばかりの扉が閉まった。
退路を断たれて一瞬ドキッとしたけれど、エリーとフレイアは平常心でボスの
「来るわよ!」
エリーが気合の入った声でみんなに注意を促すと、次々に
バァカァーー!
エリーが最初の
しかし、
バァカァーー!
バァカァーー!
エリーが次々と
剣の柄で叩こうと思ったけれど、破壊力が足らないのは明白。オレの体内の気を練って高め、迫って来る
バァカァーー!
バァカァーー!
バァカァーー!
バァカァーー!
立て続けに4個、肘だけで
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